江崎グリコは11月11日を「ポッキー&プリッツの日」と定めている。そのポッキーは、1966年10月に初代「ポッキーチョコレート」が発売されてから、50年目を迎えた。世界30カ国で年間5億箱売れている超人気商品だ。2020年には、現在の2.6倍に当たる売り上げ「10億ドル(約1200億円)」の達成を目指す。
これまでの累計販売箱数は世界全体で100億箱以上、パッケージを縦に積み上げると地球から月までを2往復以上する規模であるという。
ポッキーはそのまま食べるのはもちろん、これまでもさまざまな工夫を凝らした食べ方が広まっている。ほかにも、面白い写真を撮ったり1本1本積み上げたりなど、ファンならではの楽しみ方があるが、最近の特徴はフェイスブックなどソーシャルネットワーキングサービス(SNS)での共有が熱心に行われていることである。これはメーカーである江崎グリコが仕掛けたものではなく、ポッキーファンの間で自然発生的に広まっているのだ。特に毎年11月11日が近づくと、多様な写真がファンを中心にSNS上にあふれる。
そういった動きを受けて江崎グリコは今年、ポッキーを使った写真を一般消費者が投稿できる「ポッキーフォト部」を公式ホームページとしてオープンした。そこには、マッチ棒工作のようにポッキーでつくった家の写真や、遠近法を利用してポッキーの上に人が乗ったように見える写真など、すでに多くの作品が投稿されている。まさに若年層が好む、ネットを使った消費者参加型イベントであり、商品の人気が高いがゆえに多くの人が集まっている。SNSが生活の一部になったからこそ成立する、ボトムアップ型のマーケティング手法になっている点も見逃せない。
企業側からではなく、「日常の出来事や面白いことを周囲の人に知らせたい」という若者を中心にした消費者側のニーズが売り上げに貢献しているといえる。こうしたポッキーの例は、マーケティングが、よりインタラクティブ(双方向)に変化を遂げてきた好例ともいえる。
ロングセラー商品といえば、大塚製薬のオロナミンCも今年、1965年の発売から丸50年の節目を迎えている。このほかにも、同じ頃に生まれ今も生き続けているロングセラー商品は多い。それぞれに物語があり、根強いファンによるSNSを使った情報伝播は、新たな物語を紡ぎ出すことに一役買っている。いまやSNSは、ロングセラーを支える力ともなっているのである。
(文=編集部)