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兵庫・百条委員会とテレビ報道の公正性に疑問広がる…揺らぐ斎藤知事批判の根拠

文=Business Journal編集部
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兵庫県の公式サイトより

 兵庫県の斎藤元彦知事への内部告発を調査する県議会調査特別委員会(百条委員会)とテレビ報道の公正性に疑問の声が強まりつつある。10月25日に行われた片山安孝前副知事への尋問では、斎藤知事のパワハラなどを告発する文書を配布していた県の元県民局長が公用パソコンに保管していたとされる私的情報について片山氏が発言を行おうとし、奥谷謙一委員長(自民党)が制して一時中断。公開された映像では片山氏のこの時の証言の一部音声が消されているが、先月には片山氏と奥谷委員長のやり取りを録音した音声がインターネット上に流出し、その内容から百条委員会の公平性や透明性を疑問視する声が相次ぐ事態に発展。また、片山氏は県議会議長宛てに、百条委員会が事実検証に必要な元県民局長の公用パソコン内のデータを調査を行わず、かつ証言もさせないことは不公正であるとする要望書を提出したが、この事実はテレビではほとんど報じられていない。先月29日には「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首が、元県民局長の公用PCに保存されていたとみられるデータをSNS上で公開し、斎藤知事が第三者機関を設置して事実関係を調査する意向を表明しており、その進展によっては一連の斎藤知事の問題への人々の見方が大きく変わる可能性もある。

片山氏の証言の一部音声が消去

 斎藤知事による県職員へのパワハラや出張先などでの贈答品の受領などを訴える告発文書を受けて、県議会が百条委員会を設置したのは6月のことだった。翌7月には告発文書を作成・配布していた元県民局長が死亡。9月には県議会の各会派などが提出した斎藤知事の不信任決議案が全会一致で可決され、失職した。

「今回の百条委員会は県議会の自民党と立憲民主党の議員が設置を求める動議を提案して可決されたもので、前回(21年)の知事選で斎藤知事を推薦した維新の会と公明党は反対しました。奥谷委員長は自民党所属であり、兵庫県議会は議会の最大会派は自民党、知事は維新の斎藤氏というかたちで“ねじれ現象”にあり、議会と知事は対立的な関係だというのが前提にあります。本来は首長などのカネや公務に関する疑惑を調べる百条委員会が、パワハラ問題の解明を目的として設置されたことには、以前から適切なのかという疑問の声があったのは事実ですし、政治的な思惑が絡んでいる臭いもします」(全国紙記者/11月30日付当サイト記事より)

 百条委員会の進め方に対して疑問も広まっている。10月25日に行われた片山安孝前副知事への尋問では、片山氏が告発者である元県民局長が公用パソコンに保管していたとされる情報について発言を行おうとし、奥谷委員長が制して一時中断。この日の百条委員会は知事選への影響を考慮して秘密会の形態で行われ、先月22日に証人尋問の映像が公開されたのだが、映像では片山氏のこの時の証言の一部音声が消されている。また、奥谷委員長の「片山氏から不規則発言があり、尋問を行うことが不可能と判断した」との発言も収められている。

 今月には片山氏と奥谷委員長のやり取りを録音した音声がネット上に流出。さらに、先月29日には「NHKから国民を守る党」の立花党首が、元県民局長の公用PCに保存されていたとみられるデータをSNS上で公開。これを受け斎藤知事は今月2日、「事実関係を第三者機関で対応するのが大事」と述べ、第三者機関を設置して調査する方針を示した。

<委員会運営の公正性に重大な疑義を生じることになる>

 百条委員会の姿勢には内部からも批判が出ている。兵庫県議で百条委員会メンバーの増山誠氏は先月29日、X(旧Twitter)に次のように投稿した。

<現在でも
・公用PC内の情報(プライバシー情報除く)
・人事課が合計5回行った元西播磨県民局長への事情聴取資料
公益通報者保護が争点に追加された今となっては、この2つの資料は事実究明に最も重要な資料であるにもかかわらず、これまで私が請求しても却下されています。以上をふまえ、12月9日に行われる百条委員会理事会に資料要求を申請しました>

 前出・片山氏も11月14日、百条委員会について以下内容の要望書を兵庫県議会議長宛てに提出した(以下、増山議員がXに投稿した書面より抜粋)。

<本件公用パソコン内に保存された文書等の内容を調査しなければ、元県民局長がどのような意図、目的をもって本件文書を作成したのかについて十分な検証がなされたとはいえず、(略)本件公用パソコン内に保存されていたデータの内容を調査もせず、通知人に証言すらさせないという委員会の運用は極めて不可解であり、明らかに不公正と言わざるを得ません>

<(編集部追記:10月24・25日の)秘密会について、委員会側が記者会見して内容を公開しているが、そのこと自体適正と言えるか。また公表された内容は一方的な偏った内容ではなかったか>

<前知事のパワハラや贈答品疑惑について、本件文書には記載されていない疑惑があたかも事実であるかのように質問されたが、結局根拠が不確かで、中には関係者が否定することにより、事実と異なることが明らかとなったものがあった。このような質問は、証人を困惑させる誘導尋問であり、本来許されないものと考えられる>

<(編集部追記:百条委員会の)一部委員が本件告発文書の作成に関与しているとの疑惑が取り沙汰されているが、委員会の公正性の確保の見地から調査して頂きたい>

<元県民局長が使用していた公用パソコンに保存されていた文章等のデータの内容について、(略)(編集部追記:百条委員会の奥谷)委員長はその内容を知りながら委員会への開示請求をしなかったのではないか、との疑いがネット上で指摘されている。もし事実であるとすれば、委員会運営の公正性に重大な疑義を生じることになるので、調査して頂きたい>

 ちなみに片山氏は副知事に就いていた3月、県の公益通報制度を利用して通報した元県民局長に事情聴取を行い、

「俺の悪口もよう書いてあったけど。勤務中にやっとったんちゃうんかい。どないやねん」

「名前が出てきた者は、一斉に嫌疑かけて調べなしゃあないからな。 いろいろメールのなかで名前出てきた者は、みんな在職しとるということだけ忘れんとってくれよな。手始めに●●(編注:職員の名前)あたり危ない思うとんやけどな」

などと発言していたことが判明している。また、片山氏は元県民局長の公用パソコンに問題のある文書が保存されていたことを把握しており、百条委員会の設置に反対だったと明かしている。

斎藤知事批判の流れが大きくひっくり返る可能性

 テレビ局関係者はいう。

「片山氏が県議会議長宛てに要望書を提出した事実自体、ほとんどテレビでは報じられていません。また、以前からテレビや新聞の現場の人間の間では、百条委員会が県議会で最大会派の自民党と維新の斎藤知事の政治対立のなかで設置されたものであり、一方的なスタンスの委員会であることは認識されていましたが、これまでテレビは一貫して県や百条委員会から流れて来る情報に乗っかって斎藤知事をバッシングする報道をしてきたため、それを転換させるというのは難しいです。ですが、ここへきて立花氏が元県民局長のPCデータを公表した件について、第三者機関を設置して正式に調査するという流れになり、仮にデータの内容が本物だということになれば、これまでの斎藤知事批判の流れが大きくひっくり返る可能性があり、そうなれば百条委員会の存在そのものに疑いの目が寄せられる事態になりかねません。テレビが今後の展開をどう報じるのか、もしくは報じないのかが注目されます」

 別のテレビ局関係者はいう。

「斎藤知事とPR会社・merchu(メルチュ)の代表・折田楓氏の関係、公職選挙法違反の可能性について連日、大々的に報道していたテレビ各局の朝の情報番組が、先月29日になって一斉に突然、扱うのをやめました。同日に立花氏が元県民局長のPCデータを公表するという情報が広まり、それがこれまでの斎藤知事に関する報道を覆しかねないという観測が出たことが背景にあります。先の県知事選では“オールドメディア”の代表格として『偏った報道をしている』と人々から批判を浴びたテレビだけに、百条委員会の報道をどうしていくのかが試金石となるかもしれません」

(文=Business Journal編集部)

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