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小笠原泰「生き残るためには急速に変わらざるを得ない企業」

実は収益基盤が「とても心許ない」東芝、本当の危機…改革という名の単なる「縮小」

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東芝のロゴ
 今回は、「組織ぐるみ」といわれた不正会計処理を受け組織の立て直しに向けて東芝が取った組織的な内部的対応について、見てみることにする。

 株価操作目的でもなく、社長何代にもわたってありもしない利益を積むという、世にも不可思議な不正会計に端を発する今回の東芝事件であるが、白日のもとに晒された赤字体質の事業整理は着々と進んでいる。9月に発足した新経営陣は、画像用半導体事業のソニーへの売却に続いて、日本のノートパソコンの歴史をつくってきたともいえるパソコン事業について、富士通とVAIOとの間で事業統合する交渉を進めている。数字的には3社の事業統合で国内パソコンシェアがNECレノボ・ジャパンを抜いてトップになるが、世界的に縮小の止まらない事業であり、基本的には「負け組統合」による事業整理の性格が強い。

 次に俎上に上がっているのが、冷蔵庫や洗濯機などの白物家電事業である。すでに中国企業との製造販売提携や海外工場の売却などを進めているが、ここにきてシャープとの同事業との統合話が出ている。これも、明らかに「負け組事業の統合」であろう。

 このような企業間における事業統合の発想は、日本の半導体産業が苦境に陥るなかでその復興を掲げて、2003年に日立製作所と三菱電機の同事業を統合して発足したルネサス・テクノロジに遡る。同社は10年にNECの半導体部門と統合し、現在はルネサス エレクトロニクスとなり、筆頭株主は産業革新機構である。12年には、同機構主導でソニー、東芝、日立製作所が中型液晶ディスプレイ事業を統合するかたちでジャパンディスプレイが発足。さらには、スマートフォンへの移行に失敗した各メーカーの携帯電話事業統合も過去になされたが、これら一連の企業間事業統合は、産業整理的性格を持つものといえよう。

 東芝はテレビ事業について、「レグザ」ブランドは維持するものの工場を売却し自社生産から完全撤退し、海外での製造委託に切り替える方針を固めている。余談だが、日本の液晶テレビ産業についても、高解像度の4Kや8Kに注力するなどと勇ましいことを言ってはいるが、産業整理の対象になるとみて良いであろう。

 結果として、東芝のこれらの事業整理は、大規模な人員整理を避けては通れないであろう。

「Shrink to Grow」といえるか?


 赤字事業を整理することは、現在の東芝経営陣にとって急務の課題であることは事実であるが、それを通して見えてきたことは、現在の東芝には、事業構造的に不安定な半導体事業以外に依存できる収益基盤がないことである。

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