NEW
筈井利人「一刀両断エコノミクス」

消費増税、国が詐欺的な虚偽説明…中小企業に甚大な危害とコスト、価格転嫁できない例多数

【この記事のキーワード】

, ,

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
財務省(「Wikipedia」より/っ)
 熊本の震災をきっかけに、来年4月に予定どおり消費税率10%への引き上げを実施するかどうかが議論を呼んでいる。安倍晋三首相や麻生太郎財務相は今のところ、予定どおり実施する考えを強調している。


 さて、政府は常日頃、ほかの税金でなく消費税の増税にこだわる理由として、現役世代への負担集中を避ける狙いを挙げる。たとえば財務省はホームページでこう説明する。

「社会保険料など、現役世代の負担が既に年々高まりつつある中で、社会保障財源のために所得税や法人税の引上げを行えば、一層現役世代に負担が集中することとなります。特定の者に負担が集中せず、高齢者を含めて国民全体で広く負担する消費税が、高齢化社会における社会保障の財源にふさわしいと考えられます」

 しかし、消費税は本当に現役世代への負担が相対的に軽い税金なのだろうか。そのことを考える前提として、まず消費税の仕組みについて正しく理解する必要がある。というのも政府自身、正しい理解を妨げるような説明をしているからだ。

 たとえば国税庁は「消費税のあらまし」というパンフレットで、「消費税は、消費一般に広く公平に課税する間接税です」と述べる。ところがこの短い文章に、読者をミスリードしかねない部分が3つもある。

 まず、「消費一般」に課税するという部分である。消費税は名称にも「消費」という言葉が使われているし、消費者だけが払う税金だと思い込んでいる人は少なくないだろう。しかし意外に知られていないことだが、消費税は一部の例外を除き、原則あらゆる商品・サービスのすべての流通段階にかかる。消費者に売る最終段階より、その前段階で企業(事業者)どうしが行う多数の取引がむしろ課税の中心とすらいえる。

 次に、「間接税」という部分である。税金のうち、納める人(納税義務者)と負担する人(税負担者)が同じものを直接税、異なるものを間接税と呼ぶ。消費税の場合、納めるのは事業者、負担するのは消費者というのが建前で、だから間接税ということになっている。だが現実には、直接税の側面も強い。後述するように、建前どおりに消費者が負担するとは限らず、自腹を切る事業者が少なくないからだ。

 3つめは、「公平に」という部分である。政府として不公平とはいえないだろうが、消費税は所得の低い消費者に相対的に負担が重く公平でないと指摘されるほか、事業者からみても不公平な点がある。