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カルビーら、震災遺児に年間300万円を28年支援…「返済不要」に涙する親も

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4社合同で開かれた「みちのく未来基金」の記者会見で手を合わせる、4社のトップと代表理事の長沼孝義氏
 のりのきいたワイシャツにピカピカの革靴、そして、靴擦れだろうか、少し履き慣れない様子で歩く若者たち。ちょっと大きめのトートバッグに、明るめ清楚メイクの女性など、この時期はいかにも「新生活を始めました」という人たちを街中や電車内で見ることができる。


 春は、まず別れがあり、そして新たな出会いが待つ。そう約束されていたはずだった。しかし、5年前の3月11日、卒業シーズン真っただ中での予期された別れだけでなく、予期せぬ別れを連れてきたのが東日本大震災だ。

「看護師の専門学校への入学が決まっていて、入学金もすでに支払っていました。でも、あの日から父が帰ってきません。家がなくなってしまい、働き手の父も亡くした。あの時から、機能はすべてストップ。体育館に身を寄せる中で、私1人が地元を離れて学校に通うなんてことはできませんでした」

 そう語る日向さん(仮名)は、学校に1日も通わず、地元で残された家族と過ごすことを決断。現在は、地元の岩手県釜石市で介護ヘルパーとして働いている。

「東日本大震災の被災を見て、日本中で誰もが『何かできないか』と思ったはずです。私たちも、その思いの中で、子供たちに夢を諦めることだけはしてほしくないと考えました」(ロート製薬代表取締役会長兼CEO・山田邦雄氏)

 去る3月10日、「みちのく未来基金」の記者会見が、東京都内のロイヤルパークホテルで行われた。

 みちのく未来基金とは、11年10月にロート製薬、カルビー、カゴメの3社が合同で立ち上げ、その後、趣旨に賛同したエバラ食品工業が加わった奨学金事業である。

 前述の日向さんの言葉は、同会見の中で語られたものだ。震災発生から5年がたち、復興事業の見直しなども行われて「一区切り」といった空気も流れ始めている。今年の震災関連のテレビ番組は軒並み低視聴率で、関連書籍などの売り上げは低迷、震災関連の出版物は年々減っているのが実情だ。

 しかし、現実はいまだに仮設住宅に住む人が多く、復興住宅への入居も少数である。というより、津波で大被害を受けた沿岸地区では、ようやくかさ上げ工事が本格化してきたところだ。

 そう、5年たっても、まだまだ「大震災」は終了していないのである。

 みちのく未来基金を一言でいえば、「震災遺児を対象とした、返済義務のない奨学金制度の運営団体」である。年間300万円を上限として、両親もしくはどちらかの親を震災によって亡くした子供に対して、大学や短大、専門学校などの学費が卒業まで給付される。

 広く一般(企業・団体・個人)から寄付を募り、人件費など運営に関する経費は前述の4社で賄うため、寄付のすべては奨学金として子供たちの支援に使われる。