5月14日付当サイト記事『カルビーら、震災遺児に年間300万円を28年支援…「返済不要」に涙する親も』で、東日本大震災で親を亡くした震災遺児に対する「みちのく未来基金」について述べた。
これは、11年10月にロート製薬、カルビー、カゴメの3社が合同で立ち上げ、その後、エバラ食品工業が加わった奨学金事業だ。一言でいえば、「震災遺児を対象とした、返済義務のない奨学金制度の運営団体」であり、年間300万円を上限として、両親もしくはどちらかの親を震災によって亡くした子供に対して、大学や短大、専門学校などの学費が卒業まで給付される。
さて、奨学金といえば日本育英会が代表的だ。
貸与型と給付型があり、貸与型は第一種奨学金(無利息)・第二種奨学金(利息付き)の2種類で、基本的に保証人(機関保証も可能)が必要となっている。給付型は、海外留学生が対象となる奨学金制度だ。ほかに、あしなが育英会なども存在するが、そのほとんどは日本の学生に対しては貸与型である。
「うちは恵まれた家庭ではありません。しかも、家から通えるところに大学がないような地方でした。大学に行くためには、奨学金と金融機関による教育ローンがどうしても必要。現在3年生ですが、利子も含めて、卒業と同時に500万円程度の借金を抱えることになるのです」
これは、九州地方の実家を離れ、現在は都心部の国立大学に通う現役大学生の言葉だ。大学を卒業した途端、年収を大きく超える借金を抱えることになるという。
現在、大学生の3人に1人は、なんらかのかたちで奨学金や進学のためのローンを抱えているという調査もある。これでは、卒業して就職後も借金が足かせになり、家庭をつくることや自宅購入などに二の足を踏みそうである。
「フランスに留学しました。理由は、日本の大学よりも圧倒的に大学に通う費用が安いこと、そしてなにより、大学の世界的な評価が日本の大学より高かったことです」(国内企業で法務関係のフランス語翻訳担当業務の女性)
総じてヨーロッパの大学は学費が低いが、入学にはそれなりの条件がある。そう、「大学に行くだけの高い学力を有しているかどうか」と「学士を取得することで社会に貢献できる人材であるか」という点だ。「高等教育は、それだけの権利を有する人に提供されるべき」というわけである。