イオンは10月5日、2017年2月期第2四半期(3~8月期)の最終損益が53億円の赤字と発表しました。前年同期は21億円の赤字だったので、赤字幅が大きく拡大しました。売上高は前年同期比0.9%増の4兆1118億円、営業利益は同0.1%増の723億円です。
総合スーパー(GMS)事業が深刻です。営業損益が183億円の赤字(前年同期は87億円の赤字)です。ほかの事業のほとんどが黒字だったため、GMSが足を引っ張ったかたちとなりました。
イオンのGMSの筆頭はイオンリテールです。イオンリテールの8月中間決算の営業損益は、86億円の赤字となっています。GMS事業の赤字の半分近くをイオンリテールが垂れ流しています。
しかしGMSは構造的な問題を抱えています。イオンリテールは3つの部門を中心として構成されています。「衣料」「食品」「住居余暇」の3つです。これらの分野の専門店のトップと比較すると、利益率が低いことがわかります。その原因は、衣料、住居・余暇、食品では若干違いがあります。まず、衣料、住居では売上高総利益率で大きな差があります。
イオンリテールの8月中間期の衣料部門の売上高は1729億円、売上総利益は656億円です。売上総利益率は37.9%で、例年とほとんど変わらない水準です。一方、ファーストリテイリングが展開するユニクロの売上総利益率は50%程度です。
住居余暇部門の売上高は2053億円、売上総利益は567億円です。売上総利益率は27.6%で、こちらも例年とほとんど変わらない水準です。一方、住居関連品を専門的に扱うニトリの売上総利益率は50~55%程度です。
ところで食品部門の売上高は5329億円、売上総利益は1360億円です。売上総利益率は25.5%で、やはり例年とほとんど変わらない水準です。対して、食品スーパー大手のライフの売上総利益率は27%程度です。ちなみに、ほかの食品スーパーの標準値は25%程度ですので、食品部門の売上総利益率は健闘しているといえます。
ここで、売上高販管費率に目を転じてみましょう。イオンリテールの8月中間期の売上高販管費率は35.8%で、例年とほとんど変わりません。ユニクロは35~40%程度、ニトリは35%程度です。イオンリテールとユニクロ、ニトリは同程度と考えていいでしょう。一方、ライフは28%程度と低い水準にあります。