「食べ方」や「食事のマナー」というのは、実はよく見られているし、見ているものだ。
食べ方で不快感を与え、人間関係を壊してしまうときもあるだろう。また、単純に「食べる」という行為だけでなく、注文の取り方から会計時の振る舞いまでを含めれば、より気を付けなければいけないポイントになる。
仕事のデキるビジネスパーソンは、そうした「食べ方」が相手にどんな印象を与えるかを知っている。そう、どんな人かを判断する上で「食べ方」は重要な要素の一つなのである。
では、「食べ方」「食事のマナー」でどんな点に気を配る必要があるのか。
『「食べ方」を美しく整える』(小倉朋子著、実務教育出版刊)では、食の総合コンサルタントの小倉朋子氏が、真の一流を目指すなら心がけたい、ビジネススキルとしての「食べ方」を紹介している。
■ビジネスでの会食、失礼のない「ごちそうする側」と「ごちそうされる側」の流儀
ビジネスがらみの会食は誘った側が支払いをするのが基本だ。とはいえ、誘われた側は「本当にごちそうになっていいのだろうか」と思ってしまうもの。そして、いざ会計になって、テーブルでの「私が払います」「いいえ、ここは私が」の押し問答は避けたいところだ。
では、「ごちそうする側」は最初に「今日はこっちで持つから」と伝えるのと、会計のときに「今日はいいから」と伝えるのと、どちらがいいのか。
著者の小倉氏は、「ごちそうする」は先に言う必要はないと述べる。その代わり「何でも好きなものを頼んで」と言い、食べたいものを食べていいと促す。そうすることでニュアンスも伝わり、相手の気分もほぐれるだろう。
感覚は人それぞれだ。「ごちそうする」と聞けば、安心して高価なメニューを選ぶ人もいれば、逆に「安いメニューを注文しなくては」とプレッシャーを感じて食べたい料理を選べなかったり、居心地が悪くなったりする人もいる。だから、「何でも好きなものを頼んで」と告げるのだ。
一方、「ごちそうされる側」は、コース料理であれば相手と同じ、もしくはその1つ下のコースを選ぶのがよいと著者はアドバイスする。
また、お寿司屋のようなアラカルトで注文するお店なら、安価なネタから入り、そして「もっと高いネタを頼んでいいよ」と言われれば平均価格のネタにおさえておく。高価なものを頼みたいときは「大好きなので、ウニを頼んでもいいですか?」などと聞いてみる。ウニや中トロくらいであれば、失礼のない範疇だと小倉氏は述べる。
相手との相性を見る上で会計は重要な要素と著者。ビジネスでもプライベートでも、まずは一緒に外食してみることだ。このとき、アラカルトの方がより、相手のことが分かるという。