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リコーは2月7日、リストラ第1弾として、事務機や周辺機器の生産拠点である埼玉事業所(八潮市)を18年3月までに閉鎖すると発表した。関東地方の4拠点を来春までに閉鎖・移転し、国内従業員の1割近い3000人規模の配置転換を行うと報じられた。
人員削減に踏み切るのかが今後の焦点となる。これまでリコーでは、“首切り”はタブーだった。元社長・会長の浜田広氏は、「人間のリストラはやりたくない」と繰り返し述べ、「(どうしてもやむを得ず、リコーの船から)100人降ろすときには、100番目に『浜田広』の名前を入れてくれ」と明言。人切りをする時には、経営責任を取る姿勢を鮮明にした。この浜田氏の発言の根底にあるのは、リコー創業者の市村清氏が唱えた「人を愛し、国を愛し、勤めを愛す」の三愛主義である。
11年5月、社長(当時)の近藤氏は、大規模なリストラ計画を発表した。グループ全体の従業員のおよそ1割にあたる、1万人の人員削減策だ。創業以来、最大のリストラ案をまとめたのが、今回、社長の座を追われた三浦氏だったことはよく知られている。
しかし、社員の猛反発もあり、この人員削減策は挫折した。その結果、16年3月末の従業員数は10万9361人と、11年当時に比べて、逆に300人ほど増えた。
リコーは前回の失敗に懲りて、従業員の大幅削減はせずに配置転換などで乗り切る考えだ。しかし、これ以上業績が悪化すれば、株主や銀行から、微温的な配置転換ではなく人員削減に踏み切ることを強く求められるだろう。
リコーの最大の問題は、新規事業が育っていないことだ。ライバルのキヤノンや、富士ゼロックスを傘下に持つ富士フイルムホールディングスは、事務機の売り上げ減少のダメージを医療分野の買収によって緩和する多角化に乗り出している。
新社長になる山下氏は、一方で大規模なリストラ、他方で次世代事業の育成という難問を抱えて船出することになる。
(文=編集部)
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