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ファミリーマート、撤退した韓国に再上陸か

文=編集部
ファミリーマート、撤退した韓国に再上陸かの画像1韓国にあったファミリーマートの店舗(「Wikipedia」より/Galadrien)

 2014年3月に韓国から撤退したファミリーマートが、今年4月以降、韓国に再上陸する計画があるという。同社は1990年にサムスン財閥系列の晋光グループ(現・BGFリテール)とフランチャイズ(FC)契約を結び、韓国全土に「ファミリーマート」を7900店以上を展開したが、12年には晋光との契約変更で店名が「CU ウィズ・ファミリーマート」となり、最終的には完全撤退に至った経緯がある。そのため現在は、韓国からファミリーマートの名称は消え去り、店舗名はCUとなっている。

 撤退に当たってファミマは、「出店や営業時間など、FCビジネスに関する規制が強まった」とし、「撤退ではなく、海外事業再編の一環。韓国は有望な市場であり、再度進出する可能性はある」と説明していた。

「ファミマは14年3月の韓国撤退に際して、CUを運営するBGFに持ち株25%を売却しました。この際、今後3年間は他社がファミリーマートというブランドを使用しないという契約を結んだと聞いています」(ファミマ関係者)

 ファミマの韓国撤退に当たっては、BGF側が「もう日本企業の世話にならなくてもいい」「韓国コンビニ業界のナンバー1が、日本のナンバー3に学ぶことはない」と啖呵を切ったとの話も伝えられており、ファミマが説明するように韓国のコンビニ規制だけが原因でないことは、業界では常識だったという。

 合弁事業やライセンス契約で事業が軌道に乗り出すと、現地パートナー側が独自路線を歩みたがり、トラブルに発展することは珍しくない。つまり、ファミマの韓国再上陸は、庇を貸して母屋を乗っ取られた同社が、再進出禁止期間を経て捲土重来を期すというものだ。

韓国のコンビニ事情

 そもそも韓国のコンビニは、それまで夜間の外出を禁止していた「夜間通行禁止令」が1982年に解除されたことで誕生する。89年にロッテがセブン-イレブンとライセンス契約し、その後、ローソン、サークルK、ファミリーマート、ミニストップが続々と上陸し、以降の韓国コンビニ業界はファミマなど日系がリードしていくことになる。

 しかし、こうした韓国コンビニ事情に変化をもたらしたのが、ファミマが撤退理由としてあげたコンビニ規制だ。韓国国会は14年2月に加盟事業法を改正し、コンビニ本社が加盟店に24時間営業を強いることをできなくするように規制した。これにより、1000店舗以上が深夜営業を取りやめたと伝えられている。

 となれば、“コンビニ規制を理由として”撤退したファミマは、なぜ韓国に再進出するのだろうか。そこには、「日本以上の速さで進行する高齢化社会が追い風となった、好調な韓国コンビニ事情がある」(前出のファミマ関係者)という。

 韓国のコンビニ市場は、12年に10兆ウォン(約9800億円)だった業界全体の売上高が、16年には20兆ウォン超(1兆9600億円)と倍増している。この韓国コンビニの絶好調ぶりは、韓国コンビニ最大手CUを運営するBGFの時価総額が上場初日(14年5月)の1兆3600億ウォン(約1330億円)から、5兆1200億ウォン(5020億円)に急騰したことからもみてとれるだろう。

「ひと昔前の韓国コンビニの収益の柱はタバコや酒類でしたが、高齢化やひとり暮らしが増えた現在では、粗利が大きい弁当の売上が急増しています。また、クレジットカードの使用頻度が世界最多の韓国で、コンビニのカード決済額の増加率がデパートや大型スーパーを抜いたことからもわかるように、コンビニは本当の意味で“便利店”(韓国におけるコンビニの呼称)になったのです。1店舗当たりの売上は日本の4分の1ほどですが、まだ伸び代がありますので、十分に勝機はあると考えています」(同)

 財閥系企業が運営するCUとGS25、セブンイレブンで寡占状態にある韓国コンビニ戦線で、はたしてファミマは捲土重来を期すことができるのであろうか。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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