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『カルテット』最終回、すべてが謎に終わるエンディングながら視聴者絶賛!

文=吉川織部
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『カルテット』最終回、すべてが謎に終わるエンディングながら視聴者絶賛!の画像1『カルテット』(TBS系)のHPより

 松たか子満島ひかり、高橋一生、松田龍平の4人が繰り広げる会話劇とサスペンス風のストーリーで熱い支持を集めたドラマ『カルテット』の最終回が21日に放送された。平均視聴率は初回と同じ9.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。もともと好き嫌いを選ぶ作りであるだけに、高視聴率を取れないことは制作側もわかっていたはず。ある程度数字を捨てて、大人のドラマ好きに受ける良質のドラマ作りを貫いたTBSの英断は称えられて然るべきだと思う。

 最終回では、別人の戸籍を買って巻真紀 / 早乙女真紀と名乗っていた山本彰子(松たか子)が警察に任意同行を求められてから1年後が描かれた。曲折を経て再び合流した4人は、真紀の提案で大きなホールでコンサートをすることに。無事にコンサートを終えた4人が「For Sale」の看板が立つ別荘をワゴン車で後にし、演奏場所へと向かう場面でエンディングを迎えた。

 劇中で1年たっているとはいえ、文字通り後日談のようなあっさりとした内容。これまでに視聴者を沸かせてきた数々の謎や疑問については、何の答えも提示されないまま終わった。これについては、「風呂敷を広げすぎて畳めなくなったのでは」「意味がわからなかった」との意見がある一方で、「カルテットらしい、いいラストだった」との声もインターネット上に多く見られる。Twitterには、「全部をはっきりさせないで終わらないのが、こんなに良いってドラマも珍しい」「片思いも事件も何にもハッキリしないし解決しないままだったけど、最高の最終回だった」「最終回ですら先が読めないまま終わってしまった。そういうドラマだったのかなと思うし、新鮮ですごく面白かった」など、謎が謎のまま終わる最終回がこのドラマにぴったりだったと評価する声が多く書き込まれた。

 謎の悪女としてストーリーに絡みながらも第9話で唐突に退場した有朱(吉岡里帆)も再登場。金持ち風の外国人の彼と共にコンサート会場に現れ、自分をクビにした大二郎(富澤たけし)と多可美(八木亜希子)に指輪を見せ付けながら「人生チョロかったー」と笑う。もはや、ムカつくレベルを超してあきれるしかないほどのクズっぷり。なぜお金に執着しているのかの背景が明かされることも改心することもなく、最後の最後まで謎の悪女で終わった。

 視聴者を時には恐怖に陥れ、時には大いにムカつかせるサイコな役どころを演じきった吉岡里帆本人についても「憎っくき大悪魔を演じ切った吉岡里帆さん、本当素晴らしかったです」「最後まで吉岡里帆が怖かった」『カルテット』見てから大嫌いになった」「アリスが嫌いでも、吉岡里帆さんのことは嫌いにならないでください」「吉岡里帆が可愛いわ底抜けに嫌な奴だわ面白いわで素晴らしい」などの感想がTwitterにあふれた。実力派の4人を向こうに回してたった1人でこれほど強烈な印象を残したのだから、大したものである。なかには、「同じ悪女でも菜々緒より吉岡里帆のほうが好き」との声もある。そう、菜々緒が演じる悪女はキャラだと思えるが、吉岡里帆が演じる悪女は本当にヤバイ悪女なのだ。次はぜひ視聴者に好かれる役を演じてもらいたい。

最終回でさらに増えた謎

 謎が解き明かされないだけでなく、別府と家森が下の名前で呼び合うようになった理由や、コンサートのシーンで意味ありげに映し出された帽子の女性の正体など、最終回で謎はさらに増えた。インターネット上では様々な推測が飛び交っているが、恐らくこれらに答えはないと思う。エンディングで4人が歌った「おとなの掟」の歌詞の通り、すべてはグレーなのだ。制作側や出演者が番組終了後に答えを明かすのは、蛇足というものだ。

 これに限らず、放送中は様々な深読みがTwitterユーザーの間で繰り広げられたが、それらすべてに対する答えが最終回だったのではないだろうか。「深読みするのは自由だけど、白黒は付けないよ」と。
(文=吉川織部)

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