森友学園問題以上の政治スキャンダルが、永田町を揺るがしている――。
5月17日付朝日新聞は、学校法人加計学園が計画する国家戦略特区における獣医学部設置計画をめぐり、特区を担当する内閣府が文部科学省に対して、「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向」などと伝えたと記録された文科省の文書が存在すると報じた。文書には文科省および首相官邸の幹部の名前も明記されているという。加計学園の加計孝太郎理事長は安倍晋三首相と親しい人物であり、安倍首相夫人の昭恵氏は同学園が運営する認可外保育施設「御影インターナショナルこども園」の名誉園長を務めている。
この問題が浮上して以降、安倍首相は国会で「加計学園から私に相談があったことや圧力が働いたということは一切ない」などと答弁し、菅義偉官房長官も17日の記者会見で「総理から一切指示はない」と報道を否定しているが、野党は今後、国会で厳しく追及していく姿勢をみせている。永田町関係筋は、次のように解説する。
「この問題は、森友問題が盛り上がりかけた2月下旬に出てきました。しかし、野党やメディアの追及が森友問題に集中したため、いわば“野ざらし”状態だったといえます。野党側が問題視しているように、なぜ52年ぶりに獣医学部新設を認めたのか、さらには、なぜ既存の大学に増員を認めることで対応しなかったのかなど、もともと疑問が多い案件でした。そこで、加計学園の理事長が安倍首相の親友であり、官僚の“忖度”が働いたのであれば、すべて辻褄が合います。何しろ、加計学園の問題が出た2月時点で、『本丸は森友でなく、こちら。安倍首相と加計学園の理事長は、親子二代にわたる付き合いで、森友の籠池泰典元理事長とは比べものにならないズブズブの関係』と、自民党関係者が語っていました」
では、なぜ今のタイミングでこのような文書が公になったのであろうか。同関係筋が語る。
「永田町では、文科省によるリークだといわれています。森友問題が一段落したため、ようやく違う問題が取り上げられやすい環境が整いました。カギとなるのは、加計学園と文科省の橋渡し役をしたとされる義家弘介文科副大臣だといわれています。義家氏は元教師で、文科行政に熱心なことで知られています。しかし、“ヤンキー先生”と呼ばれていたことでも想像できるように、型破りな教師でした。言い換えれば、文科省に対して厳しい注文を次々とつけるうるさ型。快く思わない一部の文科官僚が、ペーパーを作成し直して流したといわれています」