「トカゲのしっぽ切りはやめて」と叫び、国会での証人喚問で安倍晋三首相の関与までほのめかした森友学園元理事長の籠池泰典氏。
大阪地検特捜部は5日、小学校建設を目指した森友学園への国有地売却を担当した財務省近畿財務局職員に対する背任容疑の告発を受理した。同日、大阪府は森友学園をめぐり近畿財務局職員と小学校の設置認可事務を担当した府職員のやりとりの調査結果を公表、2013~15年に職員が5回府庁を訪れ、設置認可の審議状況などを確認していたことを明らかにした。財務省が大阪府に認可するよう働きかけていたことが明白になったかたちだ。
財務省の動きは、役人による「忖度」なのか、それとも上からの指示によるものなのか。永田町の動きをよく知る、ベテラン国会議員秘書は語る。
「具体的なものではなく、『森友の希望価格で土地が渡るようにしなさい』くらいの、イメージはざっくりしたものでも、かなり強い意志が伝わっていたと思います」
では、強い意志の発信源は、一時期は小学校の名誉校長を務めていた安倍昭恵・首相夫人なのだろうか。
「昭恵夫人はこのことに限らず、いろいろ首をつっこみたがるので、そのひとつとしてやっていたのだろうと思います。昭恵夫人付の官邸職員の谷査恵子氏が、籠池氏や財務省とのやりとりを独自にやっていたかのように官邸は言っていますが、それはあり得ないです。私たち秘書や官僚は、絶対に勝手にそのようなことはやりません。ただ、昭恵夫人は細かい指示はしてないでしょう。『籠池さんの希望が通るように返事しといてね』といったアバウトな言い方だと思います」
では、やはり感覚で行動する“天真爛漫”な昭恵夫人の意向によって、森友への国有地払い下げや小学校認可は動いていたのか。
「国会議員の圧力もあったと思います。ゴミ問題もすごかったので、『このままだと誰にも土地を買ってもらえなくなるから、さっさと話を進めてしまおう』という考えも、財務省にはあったと思います。8億円の値引きに値するほどかどうかは、誰もわからない状態ですが、ゴミがあったのは確かですから」
“昭恵夫人潰し”
さまざまな思惑が絡み合った森友問題だが、昭恵夫人ばかりがクローズアップされるのは、なぜなのか。