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やっと大河らしくなってきた『直虎』…柴咲のおてんばキャラ卒業は吉と出るのか?

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『おんな城主 直虎』公式サイトより

 柴咲コウが主演するNHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』の第24回が18日に放送され、平均視聴率は前回から0.1ポイント微増の12.4%(関東地区平均、ビデオリサーチ調べ)だったことがわかった。

 龍雲丸(柳楽優弥)率いる盗賊たちのストーリーが続いた前回までから一転して、今回は井伊を取り巻く情勢に焦点が当たった。今川氏真(尾上松也)は武田に「塩止め」の報復を行うとともに、国衆の離反を防ぐための策として縁談を推し進めていた。井伊にも、新野家の娘を今川家重臣の庵原家に嫁がせるようにとの命が下った。その頃織田信長(市川海老蔵)は武田との縁組を画策する松平家康(阿部サダヲ)のもとを訪ね、武田と縁を通じずに織田家と縁を結ぶように迫っていた――という展開だった。

 今回の放送で最も視聴者の印象に残ったのは、おそらく初登場の織田信長ではなく、直虎の乳母・たけ(梅沢昌代)ではないだろうか。耳が遠くなり、物忘れも激しくなって役目を果たせないと感じたたけは、祐椿尼(財前直見)に願い出て務めを辞し、ひとり里に帰った。直虎(柴咲)は馬で後を追い、引き留めるが、「乳母ひとりとはいえ、きちんと役に立つ者を置くように」と言うたけの意志は固かった。直虎はなおも翻意を促すが、「最後にひとつくらい私の言うことを聞いてくださいませよ、姫様」と優しい顔で泣き笑いするたけの姿を見ては、もはや願いを聞くしかなかった。

 おてんば娘の頃からずっと直虎を見守り続けてきた乳母の心情がクローズアップされた、とても良いシーン。これまで、たけという人物にそれほど思い入れがあったわけでもないのに、じんわりと涙があふれそうになる。たけは「もう姫様は姫様ではございますまい。井伊の殿としてご決心をされぬば」と語った。最後まで直虎を「姫様」と呼んでいた唯一の人物にそう語らせることで、直虎が名実ともに領主となったことを象徴的に表す場面となった。

領主として成長する直虎の姿

 涙なしでは見られない別れのシーンをより印象付けたのは、その直後。同じ女優さんが演じるたけの姪「梅」がしれっと井伊の屋敷で働いていたという、涙を返せと言いたくなるようなオチが用意されていた。同じ女優さんである必然性はないと思うが、このくらいの遊び心はあってもいいと思うし、深読みすれば「見た目は同じでも梅は決して『姫様』とは呼んでくれない」という意味にも取れる。誰の目にも殿として認められることは喜ぶべきことであろうが、その反面、直虎は一抹の寂しさも感じていたのではないだろうか。

 今回は、直虎の領主としての評判が今川家にも届いていたことが明らかになった。それを知った直虎は喜びもせず、「あほうなおなごが治める、取るに足らぬところと見なされておったほうが、よほど動きやすいではござらぬか」と不満げだった。南渓和尚(小林薫)はそれを聞き、「もう、おとわはおらぬのじゃの。つまらんのう」とつぶやく。昔のおとわは発想力や行動力などを発揮し、無鉄砲に突き進むことで問題に取り組んできた。そんなおとわを見守るのは、ハラハラしつつもどこか愉快でもあったに違いない。ところが、今の直虎は思慮深くなり、昔のように無茶な行動をすることがなくなった。和尚は直虎の成長を喜びつつも、寂しく思っていたに違いない。

 直虎の領主としての成長が複数の視点から描かれたことは、今後井伊を待ち受けている困難への序章であるはず。井伊の領内では比較的平和な日常が続いたが、今回のように視野を井伊家の外に少し広げれば、有力武将たちが来るべき決戦に備えてさまざまな駆け引きを行っている不穏な情勢が伝わってくる。「井伊の殿としてご決心をされぬば」とのたけの言葉は、大きな局面への伏線であるように思えてならない。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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