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有馬賢治「日本を読み解くマーケティング・パースペクティブ」

かっぱ寿司やミスドも実施で流行の「食べ放題」、実は店側に多大な儲け&メリット?

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かっぱ寿司の店舗(「Wikipedia」より/Kici)

 回転寿司チェーン「かっぱ寿司」が6月13日から7月14日の1カ月間、店舗限定で食べ放題プランを行った。食べ放題の時間は70分、平日の14時から17時の間だけという条件付きながら大きな話題となり、最大で920分待ちとなった店舗もあったようだ。

 2017年3月期に最終赤字に陥るなど、業績の芳しくない「かっぱ寿司」が一発逆転を狙ったこのキャンペーン。最近では「銀だこ」や「ミスタードーナツ」「ケンタッキー」といった大手外食チェーン店でも食べ放題プランを実施することも多く、ちょっとしたブームが起こっている印象だ。

 だが、果たしてビジネスとして得策なのだろうか。立教大学経営学部教授でマーケティングが専門の有馬賢治氏に聞いた。

実はお店も儲かる「食べ放題」


「食べ放題と聞くと、顧客側が得をするように思われますが、実は注文できるメニューや期間、実施時間を限定するなど採算を考えることで、店舗側のメリットも複数発生します。まず、同じ料理を大量につくるため、調理担当者の時間や手間を減らすことができますし、同種の食材を大量に発注できるために仕入れ値を抑えられるというメリットがあります。また、ホールスタッフは、料理の追加と食器の片づけが作業の中心となり、オーダーや配膳に関わる人数を削減することができます。こうした全体の効率化によって、結果的には仕入れ価格や人件費を節約することができるのです」(有馬氏)

 つまり食べ放題は、仕入れや人件費面でのスケールメリットがあり、経営的にはリスクがそこまで大きくはないという。

「さらに、想定される来客数に合わせて適量を調理することになりますから廃棄コストが抑えられますし、売上高も一律の代金が顧客の数だけ見込めるわけです。これは、複数のメニューで得られる売上高を平均するよりも客単価を押し上げる可能性が高いのです」(同)

 もちろん、期待するだけの顧客が来店しなければ、廃棄ロスなど余計にコストがかかることも考えられるが、「かっぱ寿司」のケースのように話題が話題を呼んでくれる可能性を生むのも、このようなキャンペーンの強みだ。

味が悪ければマイナスプロモーションに


「最近は飲食店間の競争が激しくなっており、いかにして顧客にアピールするのかが重要になってきています。特に期間限定の場合、食べ放題は“集客イベント”的側面が強くなります。ですから『かっぱ寿司』も顧客を呼び戻す方法として、食べ放題のキャンペーンを打ち出したのだと思います」(同)

 食べ放題は、定番化するよりもイベント的に行ったほうがプロモーションとしての役割を果たすと有馬氏。

「その代わりに、食べ放題は確かなクオリティの商品を提供しないとマイナス効果も出てきます。おいしければ、食べ放題の期間以外にわざわざ足を運んだり、食べ放題対象外のメニューも注文してみようという気持ちになったりしますが、おいしくなければ余計に敬遠されてしまいます。プロモーションとしての食べ放題が今のトレンドですが、これはメニューに自信があってこそ可能だということを、飲食店の経営者は忘れてはいけません」(同)

 飲食店が乱立する昨今、顧客に自分のお店の存在を知ってもらうだけでもひと苦労だ。そのなかで、「かっぱ寿司」をはじめ今は食べ放題のお得感を全面に押し出しての集客が効果を発揮している。ただし、これらのキャンペーンを安直に行いすぎると、時として“両刃(もろは)の剣”になってしまうことを経営者は肝に銘じなければならないだろう。
(解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=A4studio)

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