15日放送の連続テレビドラマ『カンナさーん!』第5話が、平均視聴率10.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。第4話では9.3%と1ケタ台落ちしていたが、今回は再び2ケタ台に返り咲いた。
渡辺直美が演じる主人公・河東カンナが、シングルマザーとしてさまざまな困難にぶつかりながらも、ポジティブに生き抜く姿が描かれる同ドラマ。カンナはアパレルブランドでデザイナーとして働いており、第3話でファッション界のカリスマ・ニック難波(加藤雅也)の目に留まると、第4話では彼に認められるデザインを見事に描き上げた。
さらに、第5話でカンナはニックから告白され、一旦は息子・麗音(川原瑛都)のために断ったものの、まんざらでもなかった様子。そして、その後のニックの態度や思いに心を動かされたカンナは、ラストで「私と付き合ってください」と改めて申し出る……といったストーリーが展開された。
視聴率が回復した一因として、新たに始まった恋愛パートが視聴者の関心を引いたことが挙げられるだろう。しかも、カンナに猛アタックするニックを演じている加藤は、現在54歳のダンディなナイスミドル。演じるキャラクターにも明るくて強引な性格と、それでいて“家族”への憧れを抱く切なさを併せ持つというギャップがあり、インターネット上の視聴者も、「加藤さんのニックが素敵すぎて惚れる!」「カンナは麗音の気持ちを優先するべきなのかもしれないけど……加藤さんのルックスとニックのキャラクターでアプローチされたら、好きにならないワケがない」などと盛り上がっていた。
しかし、これで今後も視聴率が安泰かといえば、そうでもない。私もたしかにニックの活躍にはキュンとしたが、それ以上に、カンナと離婚した元夫・鈴木礼(要潤)にはゲンナリさせられた。礼は、自分の不倫が原因で離婚に至ったにもかかわらず、今さらカンナがかけがえのない存在だったと気づき、よりを戻してもらうべく密かに奮闘中。そして、今回はなんとカンナと麗音のため、借金をしてマンションを買おうとしていることが発覚した。
カンナの立場に立って現実的に考えてみたが、不倫した元夫がマンションをエサに復縁を希望してきたら、ムカつくだけではないか。マンションなんか買われても、不倫の事実や心に受けた傷は消えないし、ましてや借金を背負って戻ってくるなんて、どう考えてもお断りだ。そんなこともわからないお馬鹿な男だから、安易に不倫に走ったのだろうけど。
また、最も心配なのは、ドラマ的に「カンナが結局ニックではなく礼を選ぶのではないか」ということ。残念ながら、ニックは“いい人”で終わりそうだし、一方で、礼については“変わろうとしている”といった、美談的な描かれ方をしているように感じるからだ。
芸能人の不倫や浮気報道が飛び交い、世間が「不倫許すまじ!」な風潮になっているなかで、同ドラマはどのような結論に向かっていくのか。その展開次第では、視聴者から大バッシングをくらう可能性も否めない。
(文=美神サチコ/コラムニスト)