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シャープ、人材が「もぬけの殻状態」…日本電産が容赦なく大量の技術者を引き抜き

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日本電産の永守重信会長兼社長(東洋経済/アフロ)

 日本電産の永守重信会長兼社長は、相変わらずの大風呂敷を広げている。

 2018年3月期決算の4~6月期(第1四半期)の営業利益は約24%増。通期見通しを小幅に引き上げたことに好感をもたれ、7月27日の東京株式市場で日本電産株は605円高の1万2230円と急伸した。その後も8月3日に1万2855円の年初来高値をつけた。8月16日の終値は1万2440円(45円安)である。

「冷静に考えれば5ケタの銘柄、ましてや1万2000円もする銘柄ではないと思う」(外資系証券会社のエレクトロニクス担当アナリスト)

 永守は「株価の動向にもっとも敏感な経営者」(証券筋)といわれている。証券専門紙だけでなく、エレクトロニクスを担当する全国紙の記者や株式評論家、アナリストとも良好な関係を築いている。日本経済新聞社の各種セミナーの常連講師でもある。

 日本電産サーボの社長にシャープ出身で16年に日本電産に入社した辰巳剛司氏が8月1日付で就任した。日本電産サーボの前身は日本サーボ(1962年に東証2部に上場)で、07年に日本電産グループに入った。16年にシャープの事業部長クラスで日本電産に入社したのは辰巳、杉本孝行、道川直幸の3氏。辰巳氏は成長の柱となる「IoT」の担当。杉本氏は液晶パネル、道川氏は液晶テレビ。役員よりも現場に近い辰巳氏クラスの退社は、シャープにとって痛手だったという。

 執行役員級では液晶事業のトップを務めた和田正一氏、通信事業本部長で人工知能(AI)で対話ができるスマートフォン(スマホ)を広げた川口登史氏も日本電産に入社している。「なりふり構わぬ引き抜き」という声もあるが、これが永守氏のやり方である。

 シャープで財務を統括していた元副社長の大西徹夫氏は、日本電産の副社長になった。シャープの経営立て直しのネックになっているのが、人材の流出だ。シャープの社長を退任した片山幹雄氏が日本電産の取締役副会長になっており、「日本電産はシャープから300人規模に上る技術者を引き抜いてきた」(日本電産関係者)ともいわれている。

 その片山氏はシャープのフェロー(技術顧問)を14年9月1日付で退任し、超小型モーターで世界最大手の日本電産の顧問に就任。同年10月1日から技術部門のトップとなり、最高技術責任者(CTO)を兼務した。15年6月の株主総会を経て代表権を持つ取締役副会長になった。片山氏の入社が呼び水になったかどうかは不明だが、シャープの技術者は次々と日本電産に移った。

 シャープの経営危機の際、官民ファンドの産業革新機構との交渉にあたった前副社長の大西徹夫氏は16年6月、日本電産の副社長に就いた。シャープから優秀な技術者が日本電産に移るのは“片山効果”と揶揄されている。古巣のシャープでの片山氏の評判は最悪。「会社を崩壊させたのに、その反省もない。今でも経営者面しているのは許せない」(シャープ関係者)というのだ。

 永守氏は冷徹なワンマン経営者だ。片山氏の知識とノウハウを吸収し尽くせば、お役御免にするのではないかとの辛辣な見方もある。片山氏を“ポスト永守”の最有力候補と囃し立てるマスコミもある。
(文=編集部)

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