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金子智朗「会計士による会計的でないビジネス教室」

富士通のスマホ撤退が象徴する、日本の「ものづくり」の価値の低さ

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スマイルカーブから富士通のスマホ撤退を考える

 富士通が携帯電話事業から撤退することを発表した。具体的には投資ファンドか他の事業会社に売却するようだ。富士通が撤退すれば、携帯電話の主要国内メーカーはソニー、シャープ、京セラの3社だけとなる。

 ガラケー時代には国内電機メーカーのほとんどが携帯電話事業に参入していたことを考えると、なんとも様変わりしたものだ。その変遷は、製造業がますますスマイルカーブ化している状況を如実に物語っているようにみえる。

スマイルカーブとは


 スマイルカーブとは、台湾のパソコンメーカー・エイサーの会長であるスタン・シー氏が、パソコン事業における付加価値の源泉をバリュー・チェーンに沿って説明する際に、この図を用いたのが始まりといわれている。

製造業のバリュー・チェーンを一般化すれば、上流から下流に向かって、企画・開発、加工・組み立て、そして出来上がった製品の活用というように大きく分けられる。それらがどれだけの付加価値を生み出しているかを考えてみると、図1のように両端が上がった形状になるというのがスマイルカーブだ。このグラフの形状が、人が笑ったときの口元のようなので、「スマイルカーブ」と命名されたのである。

 誰しもが「これぞ製造業の仕事」と思うのは、真ん中の加工・組み立てという、いわゆる「ものづくり」の部分だろう。スマイルカーブが意味していることは、その「これぞ製造業」のはずのものづくりのところが最も価値を生まないということだ。

 スマートフォンはその格好の具体例だ。現在国内のスマートフォン市場で5割のシェアを持つ米アップルは、業種としては間違いなく製造業だ。しかし、彼らは真ん中の「ものづくり」はやっていない。その部分は台湾の鴻海精密工業(ホンハイ)などに全面的にアウトソーシングしている。

 彼らがやっているのは一番左側の企画・開発のみだ。iPhoneやiPadという今までにない製品(さらにはスマートフォンやタブレットというカテゴリーそのもの)を考え出すのが彼らの仕事なのだ。

 さらに、スマートフォン業界で多くの付加価値を生み出しているのは、スマイルカーブの一番右側に位置するプレーヤーだ。それは例えば、スマートフォンという製品上で動く便利なアプリを開発しているLINEのような企業だ。

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