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参議院予算委員会(5月9日)や同決算委員会(6月5日)での答弁では、「国家戦略特区に、その申請を今治市とともに出された段階で承知した」と答え、今治市が獣医学部新設を提案した15年6月に知っていたと答えていた。質問主意書での同様の質問への回答とも内容が異なっており、以前から加計学園の特区申請の話を聞いていたという話になれば、賄賂―贈収賄の構図が成り立ってしまうため、それを避けるための発言だったと考えられる。
8月25日、文部科学省の設置審は、加計学園の認可申請を「認可保留」として審査継続にし、結論を10月下旬に持ち越した。この審査継続によって、当初予定されていた衆院選3補選(新潟、愛媛、青森)は重要な意味を持つことになり、補選の行方次第によっては安倍首相の政治力が低下し、継続審査の結果にも影響することが考えられた。そこで安倍首相は、総選挙ならば議席数は減っても影響力は継続できると考え解散に至ったとみられる。
9月6日の住民訴訟では、学園への市有地(評価額36億7500万円)の無償譲渡、および建設費に対する最大96億円の補助金の撤回を求めていた。「今治加計獣医学部問題を考える会」は、加計学園建築物の設計図を入手し、この補助金によって建設される施設単価が通常の2倍以上に見積もられていたことを知り、安倍首相による便宜供与の実態を各種メディアを通して明らかにしていた。結局、加計学園は単価を倍額以上に水増しした建設費の「半額」の補助金を受け取ることにより、実質1銭も使わずに学園建設できる供与を受けていたことになる。
この住民訴訟は、加計問題での「便宜供与」の実態に直接触れる訴訟であり、いよいよこの問題が裁判・行政訴訟で争われることになった。しかも、この便宜供与の開始のボタンを押したのは安倍首相であり、これまで国が隠してきた内閣府や官邸と今治市との事前の打ち合わせの内容が明らかになってくれば、利害関係者への便宜供与が贈収賄事件へと発展する裁判にもなってくる。
安倍首相は国家戦略特区によって岩盤規制に穴を空けたというが、実態は腹心の友である加計氏が理事長を務める加計学園に巨額の公金をつぎ込むという、国家・行政の私物化でしかなく、だからこそ解散・総選挙に入ったといえる。
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