業績低迷が叫ばれるようになって久しい回転寿司チェーン大手「かっぱ寿司」が、「やる、しかない。」をコンセプトに、次々と新しい戦略を打ち出している。今年6月、回転寿司チェーン店としては斬新な「食べ放題」キャンペーンを実施し、大きな反響を呼んだことは記憶に新しいだろう。一部の店舗では数時間待ちの行列ができるほどの人気であった。
そして、盛況だった「食べ放題」に続く戦略として、かっぱ寿司は「1皿1貫50円」(税別、以下同)での提供を店舗限定・期間限定で試験的に開始している。
こちらのキャンペーン、一見お得に感じるが、通常1皿2貫100円のところを1皿1貫50円で提供しているわけで、実は特別お得なわけではない。
この、特段お得なわけではない「1皿1貫50円」を打ち出したかっぱ寿司の意図はどこにあるのか。経営コンサルタントの佐藤昌司氏に話を聞いた。
「1貫」の需要増はデータにも表れている
新戦略「1皿1貫50円」は、どのような狙いがあるか。
「かっぱ寿司の公式発表にもありましたが、『少量でも食べたい』『2貫だと多すぎるので、1貫で種類を多く食べたい』といったお客の声にこたえるというのが、今企画の大きな狙いだと考えられます。小食な女性のお客や高齢のお客からすれば、たくさん種類を食べたくても1皿2貫だと、さほど多くの種類を食べられないという悩みがあったのではないでしょうか。その悩みを解決する策となるわけです。
他社のデータになりますが、『出前館』を運営している夢の街創造委員会株式会社の調査機関『出前総研』の調査で、興味深いデータがあります。出前館にて寿司を注文するお客のうち、2015年の9月時点では、好みの握りを1貫ずつ注文する割合は全体の約20%だったのに対し、17年の9月では約30%まで伸びているのです。また、出前館の寿司ジャンルでの注文数トップ10を見てみると、1位のサーモンから10位のいなりずしまで、いずれも1個もしくは1貫単位での注文となっているのです。これらの結果からもわかる通り、1貫で注文したいお客が増えている傾向があるといえます。かっぱ寿司は、そういったニーズにこたえようとしているのでしょう」(佐藤氏)