昨年12月26日放送のテレビ番組『ガイアの夜明け』(テレビ東京)で取り上げられ、大きな話題となったレオパレス21の「一括借り上げ契約」解除問題。
「30年一括借り上げ保証」といった長期安定経営を謳うアパート業者の提案には甘い見通しのものも多く、提案を受け入れて投資した結果、人生設計が狂ってしまった不動産オーナーも多い。特に、長期一括借り上げ保証のアパート経営を謳う企業は、入居者募集などの手間がかからず老後の資金手当てや相続対策にもなるという魅力的な言葉を並べて、もともと土地を所有するいわゆる“地主”をターゲットにしている。
「一括借り上げ」契約とは、事業者(または個人)が、アパートを所有するオーナーから転貸借(又貸し)を承諾してもらう条件で、かつ相場家賃よりも安い金額でアパート一棟を一括して借り、入居者へは相場の家賃で貸す(転貸する)ことで、事業者がその家賃の差額を収入として得る仕組みとなっている。ただし、オーナーから借りた事業者は入居者の有無にかかわらず、オーナーに家賃を支払うことになる。また、想定以上に入居率が悪いと借り上げた事業者の収支はマイナスになるという仕組みでもある。借り上げ契約は「サブリース契約」とも呼ばれている。すなわち、オーナーと事業者の契約がマスターリース、事業者と入居者の契約がサブリースということになる。
今回、『ガイアの夜明け』で取り上げられたレオパレス21は、完成したアパートを30年間同社が借り上げることによって、オーナーは入居者の有無にかかわらず安定した家賃収入が得られるという契約に対して、早いもので10年も満たないうちに約束した家賃を減額または借り上げ契約を解除するようオーナーに半ば強制的に迫っていたことが明るみにでたものだ。
家賃の減額や借り上げ契約の解除によって収入が減れば、アパートローンなどの負債を抱えたオーナーはその支払いが困難になり、最悪、破たんしてしまう可能性がある。今から12年ほど前になるが、筆者が不動産仲介業をしていた頃、一時、中古アパート市場でレオパレス名の物件が多数売りに出ていた記憶がある。その中のひとつの物件で、先祖から代々続く土地を守るために建てたアパートが、かえって土地を手放す原因になったという話を売主側の仲介業者から聞いて、切ない気分になった。