ビジネスジャーナル > 企業ニュース > ファミチキの勢いにケンタッキー危機
NEW

クリスマスしか食べないケンタッキーの危機…ファミマ怒涛のチキン攻勢に「食われ」始めた

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント
クリスマスしか食べないケンタッキーの危機…ファミマ怒涛のチキン攻勢に「食われ」始めたの画像1フライドチキンの店舗(撮影=編集部)

 ケンタッキーフライドチキンを展開する日本KFCホールディングスは、昨年12月23〜25日のクリスマス期間3日で、過去最高となる60億円(前年同期間比1.4%増)の売り上げを達成したと発表した。

 クリスマスにケンタッキーのフライドチキンを食べる人は少なくないだろう。そういった需要が過去最高の売り上げを実現させた側面があるが、さらに昨年は特に鶏肉料理を売りやすい環境が整っていたといえるだろう。

 飲食店情報サイトを運営する「ぐるなび」が、その年の世相を反映し象徴する食を毎年選んで発表する「今年の一皿」で、2017年は「鶏むね肉料理」が選ばれたことからもわかる通り、昨今の食の健康志向を追い風に、特に昨年はたんぱく質が摂れるうえにヘルシーなイメージが強い鶏肉料理に関心が集まっていたためだ。

 そうしたなか、ケンタッキーは「パーティバーレル」3種や「クリスマスパック」5種などバラエティー豊かな期間限定メニューを用意し、クリスマスキャンペーンを展開した。

 また、フライドチキンなどを囲んでクリスマスを過ごす家族を描いたテレビCMを放映したり、歌手の竹内まりやが歌うケンタッキー向けのクリスマスソング「すてきなホリデイ」を店舗のBGMで使用するなど、キャンペーンを積極的に盛り上げたことが奏功した。

「クリスマスに鶏肉料理」という風習はアメリカやカナダで古くから行われていたもので、感謝祭には七面鳥が供され、クリスマスでも食卓を飾ることがあるという。日本ではそういった風習はなかったが、ケンタッキーの並ならぬ努力で日本で定着していったという歴史がある。

 ケンタッキーの日本1号店が誕生したのは1970年で、その頃の日本は欧米化を志向し、特にアメリカ文化が急速に普及していった時期だった。ただ、この頃はフライドチキンという食べ物が日本に馴染んでいなかった。

 そんなある日、ケンタッキーは店舗の近くにあるミッション系の幼稚園から、「フライドチキンを買ってクリスマスパーティーをしたいので、サンタクロースに扮装してパーティーに来てもらえないか」との相談を受けた。そこで店長がサンタクロースに扮してパーティーに参加したところ、子供たちは大喜びしたという。

 これをヒントに営業担当者が「クリスマスにケンタッキー」を広くアピールしようと考えたのだ。そして、74年から毎年全店でクリスマスキャンペーンを実施しているという。こうした努力が実って、「クリスマスにフライドチキン」「クリスマスにケンタッキー」という風習が日本で根づいていった。

 こうしたケンタッキーの努力は、クリスマスでは大きな威力を発揮している。それが「過去最高の60億円の売り上げ」という結果を生んだといえる。

クリスマスしか食べないケンタッキーの危機…ファミマ怒涛のチキン攻勢に「食われ」始めたのページです。ビジネスジャーナルは、企業、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!