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有馬賢治「日本を読み解くマーケティング・パースペクティブ」

テレビ、単なる家具に…「放送時間にテレビの前に座る」習慣の消滅

解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=武松佑季
テレビ、単なる家具に…「放送時間にテレビの前に座る」習慣の消滅の画像1「Thinkstock」より

 昨年11月、インターネットテレビ局「AbemaTV」で放送された『72時間ホンネテレビ』の視聴数が7400万人超に上ったことは記憶に新しい。元SMAPのメンバーが出演していたとはいえ、これは驚異的な数字であり、世間でも大きな話題となった。

 インターネットの映像コンテンツはAbemaTVのほかにも「TVer」「Amazonプライム・ビデオ」などがあり、これらも利用者を増やしている。

 一方、地上波テレビ番組といえば、昨年大みそか放送の『NHK紅白歌合戦』の視聴率が歴代ワースト3位と奮わず、1月7日放送のNHK大河ドラマ『西郷どん』第1話の視聴率も歴代ワースト2位と、今まで高視聴率が期待できた番組の低迷が目立っている。

 このような “地上波テレビ離れ”が起こっている背景には何があるのだろうか。立教大学経営学部教授の有馬賢治氏にマーケティングの視点から分析してもらった。

“テレビだけ”視聴する層は激減

「テレビの低迷が叫ばれて久しいですが、地上波テレビ番組が軒並み視聴率を下げているかといえばそうではありません。ドラマでいえば前クールの『陸王』(TBS系)のように、高視聴率を獲得するドラマは散発的に出現しています。つまりテレビ自体が敬遠されているわけではないのです。ただし、視聴者のニーズは確実に変化しているといえるでしょう」(有馬氏)

 かつては見たいテレビ番組がある場合、放送時間にテレビの前にいなくてはならなかった。しかし、録画が一般的になり、近年ではインターネットでの見逃し配信といったサービスも増え、番組を見るスタイルが多様化していると有馬氏。

「これだけオンデマンド配信が浸透すれば、視聴のために時間拘束を受けることを嫌うユーザーが増えるのも自然な流れです。さらに、以前記事でも紹介しましたが、調査したところによると、自宅で自由に過ごせる時間にテレビをつけていたとしても、スマホ、パソコンなどの機器を併用しながら視聴する人がとても多いことがわかりました。つまり、単独でテレビ視聴自体を目的としたユーザーは減少傾向にあり、テレビはBGV(バック・グランド・ビデオ)的役割へと変わっているのです」(同)

 有馬氏とNTTコムオンラインが共同で調査したところによると、調査対象の20代から60代の男女の多くは「テレビとパソコン」、または「テレビとスマホ」を同時使用していることが判明している。

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