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最高のクソドラマだったフジ『黄昏流星群』が突然まともになり全然面白くない!

文=吉川織部/ドラマウォッチャー
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 連続テレビドラマ『黄昏流星群』(フジテレビ系)の第3話が25日に放送され、平均視聴率は前回から1.2ポイント減の6.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だった。本作は、融資先に出向になった元銀行員・瀧沢完治(佐々木蔵之介)と、母親を介護しながら食堂で働く目黒栞(黒木瞳)を中心に、人生や恋に葛藤する男女を描く作品だ。

 とはいうものの、おじさんとおばさんが繰り広げる不倫劇が楽しみで仕方がない、という視聴者は少ないことだろう。フジテレビもさすがにそれは承知しているのか、第1話からツッコミどころ満載のハチャメチャ展開で突っ走り、大いにツッコミを入れて笑ってもらおうとの姿勢を前面に打ち出していた。

 そんなわけで、次はどんなトンデモ展開が待っているのだろうと期待に胸を膨らませて第3話を視聴した人も多かったことだろう。ところが、第3話は視聴者の期待に添うものではなかった。といっても、つまらなかったわけではない。むしろ、視聴者の共感を得やすい“まとも”なドラマになってしまったのである。

 完治は栞と山に遊びに行く約束をするが、銀行時代の同僚から「銀行に戻る足がかりになるから」と接待ゴルフに誘われ、栞よりゴルフを選ぶ。これで銀行員復帰の道より女を選んでいたら「さすがにそれはバカだろう」と視聴者もあきれてしまうところだ。完治の判断は、家庭を持つ男性として、また社会人として、非常にまともである。

 ゴルフの当日、完治は銀行に戻るためならと息を切らして球拾いに駆け回るが、出世と保身のために上役のご機嫌を取る取り巻きたちの姿を見て銀行に未練がなくなり、ゴルフ場を抜け出して栞とデートに出かけた。この流れも自然である。長年、仕事一筋に生きてきた男が、ふと「そこまでして仕事にしがみつく必要があるのか」と、プツンと切れたとしてもおかしくはない。まとも過ぎて、なんのツッコミどころもない。

 一方、完治の妻・真璃子(中山美穂)は、夫に多少の不信感を抱いてはいるものの、夫をあからさまに無視することもなく、そこそこうまく取り繕って表面上は円満に暮らしている。ネクタイやネクタイピンを、浮気相手からのプレゼントだと思い込んで一度はごみ箱に捨てるも、思い直してクローゼットの奥にしまい込むのもいじらしい。夫に疑いを持ちつつも、スマホだけは勝手に中を見ないと決めているのも、非常にまともだ。

 栞については、認知症の母親を介護する場面が描かれた。母親はすでに施設に入所しており、日常的に手がかかるわけではなさそうだが、精神的な負担が重くのしかかっているようだ。これでは、ひと時の癒やしとときめきを求めて、妻子ある男性に走るのもわかる。完治はともかく、栞のことは責められないな、という気になってしまう。

 このように、主要な登場人物が一様にまともな行動を取り始めたせいで、本作が視聴者層として想定しているであろう中高年世代が「うんうん、わかるわかる」とうなずけるドラマになってしまった。「なってしまった」という言い方も変だが、これまでの視聴者が本作に求めているのは、もっと“ぶっ飛んだ”展開なのだ。

 だが、大いに希望はある。まず、完治の娘・美咲(石川恋)。何やらいかにも事情がありそうな顔で「休日出勤」と称して日曜に外出したが、これが前振りでないはずがない。結婚間近の娘が何をやらかしてくれるのか、楽しみでならない。美咲の婚約者・日野春輝(藤井流星/ジャニーズWEST)の母親として初登場した冴(麻生祐未)も、いかにもクセモノである。前クールの『義母と娘のブルース』(TBS系)では、気のいいおばちゃんを演じた麻生が、今度はどんなイヤミな役を見せてくれるのか、わくわくする。

 ドラマ公式サイトで見られる第4話の予告映像には、完治と栞のデート風景や、真璃子と春輝のキスシーンが収められており、夫と妻がそれぞれ不倫に突き進むドロドロ展開を期待させる。親子であるはずの春輝と冴も何やら怪しい雰囲気を漂わせており、さらに美咲にも隠された秘密がある模様。極めつきとして、完治と栞がホテルのエレベーターらしき場所で誰かと鉢合わせする場面もあるようだ。登場人物のほぼ全員が道ならぬ恋に陥るという、往年の昼ドラを上回るほどの衝撃予告に、視聴者からは「ヤバい、来週おもしろそう」「見ててよかった」といった声が上がっている。

 ハチャメチャ路線をこのまま維持できれば、視聴率好転もあり得る。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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