大塚家具は3月11日、現在の取締役7人のうち5人を入れ替えるを発表した。3月31日に開催する株主総会で正式に決める。
大塚久美子社長は続投するが、久美子氏が外部から連れてきた取締役5人は揃って退任。大塚家具を事実上買収して“新しいオーナー”になる、中国系企業で越境EC(電子商取引)を手掛けるハイラインズの陳海波(ちんかいは)社長の意向を反映した役員人事となった。
ポイントは、久美子氏を支えてきた外部から招聘した取締役たちが全員、退くこと。いずれも久美子氏のブレーンたちだ。
宮本惠司取締役は百貨店の三越出身でナンバー2の社長補佐を務めてきた。
阿久津聡社外取締役は、久美子氏の母校である一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授で、久美子氏が社長就任した際の功労者のひとりだ。
瀬戸伸正常勤取締役(監査等委員)は秋田木工社長。長沢美智子社外取締役(監査等委員)は東京丸の内法律事務所の弁護士で、久美子氏が父親の大塚勝久氏とのプロキシーファイト(委任状争奪戦)で勝利したときに“軍師”を務めた。“久美子政権”を誕生させたキーパーソンである。
三冨正博社外取締役(監査等委員)は、かつてアメリカにあった大手会計事務所、アーサー・アンダーセン出身の公認会計士。
社内取締役は、久美子氏と佐野春生取締役専務執行役員の2人が留任する。佐野氏は久美子氏の実妹の夫。大塚ファミリーの一員だ。
新任取締役は5人。内訳は社内取締役が2人、社外取締役が3人である。社内取締役は上野一郎執行役員と狛裕樹経営企画室長の2人が昇格する。
社外取締役は、今回の資本支援をとりまとめ“事実上のオーナー”となるハイラインズ社長の陳氏をはじめ、元トヨタ自動車理事の田中満雄氏、元住友商事副社長の佐々木新一氏の3人が就く。
陳氏はメディアでのインタビューで、「取締役が(久美子氏の)アドバイザーとして機能していない」と指摘し、交代を求めていた。久美子氏の続投は認めるが、「赤字を継続すれば続投はできなくなる」と釘を刺した。
大塚家具の役員の大幅交代は、陳氏の意向を如実に反映したものだ。監査法人もEY新日本監査法人から開花監査法人に交代する。株主総会後の大塚家具の新体制は、陳氏主導で進むことになる。
(文=編集部)