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出城(液晶工場)を明け渡すのに続き、本丸も落城寸前

シャープ本体に出資比率の引き上げを迫る鴻海

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post_318.jpg日本企業の底力が、海外企業に買収されたことで分かるという皮肉。
「Thinkstock」より
 シャープは風前のともしびだ。シャープに資本参加を表明した台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の郭台銘(テリー・ゴウ)董事長(=会長)は、6月18日の年次総会で「最近のシャープ株式の下落を受け、買い増しを協議中」と述べた。鴻海は世界最大のEMS(電子機器受託製造サービス)として知られ、中国の工場群で米アップル向けのスマートフォン「iPhone」を生産している。

 2012年3月期連結決算で過去最悪の3760億円の最終赤字を出し存亡の危機に立たされたシャープに、救いの手を差しのべたのが鴻海の郭氏だ。提携交渉の主導権は鴻海側が握った。シャープの第三者割当増資(669億円)を引き受け、鴻海のシャープ本体への出資比率は9.9%になるというのが資本・業務提携の柱だ。ところが、第三者割当増資の払込期限は「12年5月31日から13年3月26日まで」。なんと1年後まで払い込みが猶予されているのだ。

 契約ではシャープが鴻海に割り当てる新株の1株当たりの価格は550円。提携発表直後は期待感から、シャープの株価は600円台をつけたが、その後は下落。最近は300~400円台に低迷している。3月末に契約した550円の割り当て価格は高すぎるとして、鴻海側は価格の見直しを迫り、出資比率の引き上げを求めたのである。郭氏は「両社とも出資拡大には賛成で協議中だ」と買い増しに前向きの姿勢を示している。

 もし、鴻海の議決権比率が20%以上になると、シャープは鴻海グループの企業に組み入れられる。また3分の1以上になると、重要な経営判断に対する拒否権を鴻海側が持つことになる。鴻海に丸ごと乗っ取られる可能性が現実味を帯びてきたわけだ。

 郭氏が個人で37.6%の出資を予定している大阪府堺市にある液晶パネル工場の運営会社シャープディスプレイプロダクト(SDP)についても、「7月から共同運営を始める。将来(ここ)は(米アップルが発売見込みの)『iTV』」向けなどの製品供給に役立つ」と表明。「3年後には台湾証券取引所に株式上場させたい」と強い意欲を見せた。シャープからSDP株式の譲渡を受ける期間も、やはり「12年5月31日から13年3月26日まで」だが、6月末までに600億円の出資を完了して、7月から共同運営に移行する予定だ。社名からシャープを外し、堺ディスプレイプロダクトとする方向だ。

BusinessJournal編集部

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