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医療機器販売会社ヤマト樹脂光学詐欺罪の余波

“ギャングスター”麻生太郎の最大タブー! 詐欺罪で起訴の会社社長から献金受領

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“ギャングスター”麻生太郎の最大タブー! 詐欺罪で起訴の会社社長から献金受領の画像1ギャングのような出で立ちでG20へ向かう麻生副総理。
(「YouTube」より)
 麻生太郎副総理兼財務相(72)のギャングスタイルの服装が若者に人気だ。黒のボルサリーノの帽子を目深にかぶり、黒のロングコート、白のマフラーに黒の革手袋。2月15日、モスクワで開かれたG20財務相・中央銀行総裁会議で米ウォールストリート・ジャーナルから「日本の財務大臣が、ギャングスタイルで登場」「マフィアのボスの会議に行くのか」と評され、国内外で話題をさらった。

 デザインTシャツ通販の「T-SHIRTS TRINITY」(大阪市)が、G20で服装が話題になった直後に、「ギャングスタイル麻生太郎」というデザインのTシャツ(2980円)を販売したところ、注文が相次ぐ人気なのだそうである。この人気に麻生副総理はまんざらでもないようだ。

 だが、こうした茶番劇に水を浴びせる事件が起きた。

 2月22日、東京地検は医療機器販売会社ヤマト樹脂光学(破産)の元社長、久保村広子容疑者(79)を詐欺罪で起訴した。起訴状によると久保村被告は2008年2~3月、大学病院などから医療機器を受注したとする虚偽の売買契約書を、りそな銀行に提出して、同行から40億円を騙し取ったとされる。

 実は、久保村被告と麻生副総理は浅からぬ関係にあったのだ。久保村被告が08年に別の汚職事件で逮捕されたとき、麻生副総理の政治資金団体に献金していたことがわかり大騒動となった。今回、5年前のスキャンダルが蒸し返され、外には決して出さないが、麻生副総理は苦虫を噛み潰したような表情をしていることだろう。

 久保村被告と麻生副総理との関係に触れる前に、この詐欺事件について書いておこう。

 ヤマト樹脂光学は1961年創業。66年に法人化したコンタクトレンズの製造・販売会社。当初は大学病院や眼科医など医療機関向けに医療用コンタクトレンズの製造卸を行っていたが、近年は、大手コンタクトレンズ販売チェーン向けに同レンズのOEM生産(相手先ブランドの委託生産)が主力になっていた。全国の大学病院内に売店を開設、病室のテレビで、カードを買えばテレビが見られるプリペイドカード事業にも乗り出した。08年3月期には売上高680億4893万円を上げていた。

 しかし、会社の闇が一気に噴出する。08年7月、コンタクトレンズの使用期限の偽装問題が発覚。翌8月10日に東京地裁に自己破産を申請し、同11日に破産手続きの開始決定を受けた。負債総額は227億円。

 ここから2つの事件に発展する。1つは汚職事件。同8月下旬、国立身体障害者リハビリテーションセンター病院の医療機器選定をめぐって元部長に賄賂を渡したとして、久保村被告が警視庁捜査2課に贈賄容疑で逮捕された。さらに防衛医科大病院の元眼科部長にも同様の不正を行っていたとして再逮捕。結局、一連の汚職事件で久保村被告は09年3月、懲役2年、執行猶予3年の有罪判決を受けた。

 医療機器や製薬会社の担当者が受注先の医師を高級料亭などで接待し、現金や商品券をこっそり渡すのは日常化していた。女傑といわれた久保村被告は自らが接待に当たった。大学病院内の売店は、それ以前は各種の天下り団体の利権だったが、ヤマト社が次々と売店の権利を得ることができたのは久保村被告が大学病院の中枢に食い込んでいったからだ。「スゴ腕の女社長」として知られた存在となった。

 汚職事件で一件落着と思いきや、そうではなかった。もう一つの大きな事件が発覚した。医療機器の取引をでっち上げ、メガバンクを含む8つの金融機関から1000億円を超える巨額の融資を引き出していたのだ。

 2月1日、警視庁捜査2課は久保村被告を、りそな銀行から40億円を騙し取った容疑で逮捕した。ヤマト社は03年ごろから10億円以上の不良債権を抱えるようになり、資金繰りが悪化。架空の売掛金を担保に借り入れた金を他の金融機関への返済に充てる、自転車操業を繰り返していた。03年12月から08年8月の破産申し立てまでの間に、合計1140億円の融資を受けていた。

 ババを引いたのが、初取引した、りそな銀行だった。元銀行員のブローカーが、同銀行に「いい融資先がある」とヤマト社を紹介したのがきっかけだった。りそな銀行は08年3月に、防衛医科大病院などへの売掛金を担保に40億円を融資した。その際、久保村被告は「借金をしていることが取引先にわかると、会社の信用が落ちる」と言って、大学病院や学校法人側に、この借り入れの事実を通知しないよう要請していた。

 08年7月末、借入金の返済が遅れたため、りそな銀行は初めて大学病院などに売掛金を担保に融資していることを通知した。するとどうだろう。病院側から「契約は結んでいない」との連絡があり、取引が虚偽のものだったことが判明した。

 手口はいたって単純だ。融資した銀行の1行でもが債権譲渡通知をしていれば、すぐにバレた。そんな初歩的な手続きをしていなかった銀行側にも手落ちはあるが、銀行マンを信用させて、完全に丸め込んでしまった久保村被告の説得力はすごいと言わざるを得ない。

 さて、麻生副総理との関係に戻る。久保村被告が汚職事件で逮捕されたとき、麻生副総理との不明朗な関係が浮上した。久保村被告が汚職容疑で逮捕された08年8月当時、麻生副総理は自民党幹事長。翌9月24日に、内閣総理大臣に就任した。

 汚職事件そのものはベタ記事扱いだったが、現役首相のスキャンダルとあって大騒ぎになった。

BusinessJournal編集部

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