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リニア輸出、安倍政権トップセールスの舞台裏 成否占う米国輸出でJR東海との二人三脚

文=編集部
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リニア輸出、安倍政権トップセールスの舞台裏 成否占う米国輸出でJR東海との二人三脚の画像1試験走行するリニアモーターカー(「Wikipedia」より/Yosemite)
 安倍晋三首相は4月24日のオバマ米国大統領との日米首脳会談で、高速鉄道計画を持つ米国に対し、超電導リニア新幹線の技術を無償提供すると表明した。技術を開発したJR東海も足並みを揃えており、米国でのリニア受注に向け安倍首相がトップセールスに乗り出したわけだ。

 リニアのトップセールスは、これが初めてではない。2013年2月、日米首脳会談(米国)で安倍首相はオバマ大統領に「日米同盟の象徴」として技術導入を提唱した。9月のニューヨーク証券取引所での講演でも、米国のリニア導入を訴えている。

 米国の高速鉄道計画の1つはワシントン-ニューヨーク-ボストン間(約730 km)を結ぶ。リニアの第1弾はワシントン-ボルティモア間(約66 km)だ。鉄道で1時間かかるが、時速500kmのリニアならわずか15分間で結ばれる。第1弾の総工費は約1兆円と見込まれている。

 リニアなどのインフラ輸出を、安倍政権は成長戦略の柱に位置付けている。技術の無償提供でリニアを米国に売り込むことに成功すれば、米国の他の高速鉄道での受注や米国以外の海外市場の開拓につながり、より大きな利益を生み出す可能性があると判断した。
政府とJR東海は二人三脚でリニア輸出を進める。

●米国議会へのロビー活動も活発化

 新幹線を運行するJR東海、東日本、西日本、九州のJR4社は4月10日、新幹線技術の海外輸出で連携する一般社団法人国際高速鉄道協会の設立総会を開いた。略称はIHRA(アイラ)。自動列車制御装置(ATC)や平面交差のない専用軌道など、安全性に優れた新幹線システムを国際標準化し、輸出を促進することを目的として設立された。鉄道事業者のほか、車両メーカーや商社など、25の企業・団体が正会員として参加している。理事長は元国土交通省事務次官で東京大学公共政策大学院客員教授の宿利正史氏。理事長代理にJR東海顧問のトーケル・パターソン氏が就いた。

【IHRA正会員】

JR東日本、JR東海、JR西日本、JR九州、富士電機、日立製作所、日本コンサルタンツ、総合車両製作所、ジェイアール東海コンサルタンツ、川崎重工業、近畿車輌、京三製作所、三菱電機、三菱重工業、ナブテスコ、日本信号、新日鐵住金、日本車輌製造、東芝、東洋電機製造、三菱商事、三井物産、住友商事、公益財団法人鉄道総合技術研究所、台湾高速鉄路

 JR東海は、すでにリニアの対米輸出の拠点を設立している。USジャパン・マグレブ社と、その子会社のザ・ノースイースト・マグレブ社(TNEM)の2社である。JR東海と資本関係はなく役員も送っていないが、JR東海の別働隊として米国議会でロビー活動に当たっている。USジャパンのCEO(最高経営責任者)は元国防次官補のリチャード・ローレス氏。USジャパンとTNEMの両社の社長を務めていたパターソン氏は、米大統領府国家安全保障会議日韓部長、大統領特別補佐官(アジア担当)、駐日大使上級顧問などを歴任した大物で、13年JR東海の顧問となった。同氏はIHRAで理事長代理という肩書だが、実質的なトップとしてリニア売り込みの先頭に立ち、「25年には母国に高速鉄道が走ることを願っている」と語る。

BusinessJournal編集部

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