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中国政府、伊藤忠を不良債権処理に利用か 最大国営企業への巨額出資に懸念、株価下落も

文=編集部
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 タニン氏の最大の転機は79年だった。トウ小平氏による開放・改革路線が始まった時、真っ先に中国へ乗り込んだのがタニン氏だった。トウ小平氏とタニン氏の会見の様子は後にアニメ化された。番号「00001」。中国が外国企業に門戸を開いた際に与えられる営業許可証の第1号が、CPグループの大規模養鶏場だった。

 CPグループと中国当局とのパイプは太い。外資系企業がチャイナリスクを避けて中国市場から撤退する中、CPグループはタイに本社を置く外資系企業でありながら中国での投資を拡大し、巨額の利益を手にした。これまでの投資額は80億~90億ドル(約9500億~1兆700億円)に達し、飼料・畜産事業を中心に中国事業を拡大してきた。タニン氏の中国名は謝国民。CPグループは、中国では「正大集団」として知られている。

 タニン氏は東南アジアで活躍する華人企業家の中で、習近平・中国指導部に最も近い1人といわれている。今回の中国中信への出資のスキームは、タニン会長が習氏や李克強首相に働きかけて実現させたとされている。

伊藤忠の巨額出資、不良債権処理に利用か

 なぜ伊藤忠の国営企業への出資に、中国指導部が関わるのか。時系列で見ていくと、1兆2040億円出資の意図が見えてくる。
 
 14年7月、伊藤忠とCPグループは資本・業務提携した。CPグループは伊藤忠が実施する1020億円の第三者割当増資を引き受け、伊藤忠の株式4.9%を取得。実質的に伊藤忠の筆頭株主となる。伊藤忠はCPグループの飼料・畜産事業を展開する香港の上場会社の株式25%を870億円で取得した。

 14年9月、中国中信は香港証券取引所に上場した。伊藤忠とCPグループ、東京海上日動火災保険、みずほ銀行が、それぞれ1%を出資した。15年1月、伊藤忠とCPグループが中国中信に1兆2040億円を出資すると表明した。

 この一連の流れで最大のポイントは、中国中信の香港上場である。何を意図して上場したのか。ブルームバーグは14年12月5日、「中国中信は親会社から370億ドル(約4兆4300億円)相当の資産を今年買い取った際にCPグループを含む27の投資家に株式を売却」と報じた。中国政府が100%出資する中国中信集団は、4兆4300億円の巨額資産を子会社の中国中信に売却したのだ。中国中信集団は幅広い業種を傘下に持つが、中国経済の減速の影響を、銀行、証券、不動産、建設のいずれの業種も受けている。中国のバブル経済の崩壊に備えて、中国中信集団から不良資産を切り離し、上場した中国中信でこれを処理することを意味している。

BusinessJournal編集部

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