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『西郷どん』視聴率低迷も、玉山鉄二と小栗旬の熱演で今後に期待が持てる!

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『西郷どん』公式サイトより

 鈴木亮平が主演を務めるNHK大河ドラマ『西郷どん』の第32回「薩長同盟」が26日に放送された。『24時間テレビ「愛は地球を救う」』(日本テレビ系)のフィナーレの時間帯と重なったものの、平均視聴率は自己ワーストを0.1ポイント上回る10.4%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)となり、今回もギリギリ2桁に踏みとどまった。

 サブタイトルが「薩長同盟」だったように、今回は丸ごと1話を用いて薩摩と長州の同盟成立を描いた。西郷吉之助(鈴木)は幕府に対抗するために、なんとしても長州と同盟を結びたいと考えているが、長州の桂小五郎(玉山鉄二)は薩摩を忌み嫌っており、桂をどう説得して同盟関係に持ち込めるかがドラマとして大きなポイントになっていた。

 坂本龍馬(小栗旬)の仲立ちで西郷と桂は会談の場にこそついたが、相変わらず桂は薩摩藩と西郷をまったく信用していない。眼光鋭く西郷を見据え、居丈高な要求を薩摩に突き付ける。本来なら朝敵となった長州はもはや八方ふさがりであり、偉そうなことを言っていられる立場ではないのだが、「薩摩になど頭を下げられるか」というプライドが邪魔をしてしまい、幕府と一戦構えて華々しく討ち死にしよう、との考えに取りつかれてしまっているのだ。

 憔悴したようでいて目だけはギラギラさせた玉山の演技には凄みがあり、もはや死を覚悟して怖いものなどなくなった人間の心境がよく表現されていると感じた。いったん死を受け入れてしまえば、守るべきものは誇りだけとなる。だから、たとえ自分たちが滅びる結果になったとしても、長州の誇りを守りたい――。そんな苦しい胸の内が伝わってくるようだった。

 桂は、長州が朝敵とされたのは薩摩のせいだと言い張る。いやいや、御所に向けて発砲した自分たちのせいではないか、何を人のせいにしているのかと言わずにはいられないが、薩摩も似たようなものだった。会談に乱入してきた薩摩の大山格之助(北村有起哉)は、「長州は禁門の変の時、おいたちの仲間を何人も何人も殺した」と不満を述べた。だが、それを言うなら薩摩だってその時に長州兵を殺したはずだ。

 どちらも何を一方的な被害者のように振る舞っているのかと思うが、このあたりの描写はうまい。第三者の視点からすれば、自分たちのことを棚に上げて互いに相手を非難しているようにしか見えないが、それこそが薩長同盟成立前の両藩の関係性だった、ということがよくわかる。

 結局、西郷と桂の交渉は両藩の意地の張り合いとなってしまい、決裂寸前までこじれかけたが、長州の伊藤俊輔(浜野謙太)が持っていた写真を切り札として使うという西郷の機転と、覚悟の土下座によって桂の心を動かし、同盟成立にこぎつけることができた。伊藤が持っていた写真には、薩摩と長州がそれぞれイギリスに派遣した留学生が一緒に写っていたのだ。西郷は涙を流しながら「この者たちはとっくに助け合っている。自分たちは長州人でも薩摩人でもなく、日本というひとつの国の民だ」と決め台詞を吐き、その場にいた者たちを納得させたのだった。

 もっとじっくりと理を説いて説得するのかと思っていたら、最終的には人情路線で解決した、という展開にはやや不満も感じるが、薩摩と長州の留学生がイギリスで交流していた史実を活かした、比較的良い脚本だったと思う。薩長同盟の成立を描くドラマとしてはオーソドックスだったと思うが、『西郷どん』の中では比較的良い回だったといえる。今年の大河については、下手な小細工をせずに史実を基にした、ごく当たり前の展開を描いていくのが脚本家の力量的に合っているようだ。

 坂本龍馬を志士扱いせず、ストーリーとのかかわりをあくまでも商人としての立場に限定しているのも、ドラマとしては良い判断だといえる。龍馬を活躍させたら西郷の手柄が減るという事情もあるだろうが、それをさておいても龍馬の言動がスッキリしていてわかりやすい。一見するとチャラそうなのに、実は深い考えを持っていそうで、でもそれをあまり表に出さない小栗旬の龍馬像もなかなか魅力的であり、この龍馬が商人として活躍するスピンオフを見たい、という気にさせられた。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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