昨年12月以降、世界のスマートフォン販売台数が想定以上に減少するとの懸念が高まっている。これは、“スマホショック”あるいは“ITショック”といってもよいかもしれない。米アップルなどのスマートフォン企業だけでなく、半導体、半導体製造関連企業の株価も総崩れだ。市場参加者の懸念はかなり強い。
その背景にあるのが、米中の貿易戦争が一段と激化するとの懸念だ。特に、カナダが世界第2位のスマートフォン企業である中国ファーウェイの副会長兼CFOを逮捕したことは、市場参加者に大きなショックを与えた。今後の展開によっては、世界のIT企業の業績に無視できない影響が波及する恐れがある。
それは、わが国の企業業績にとっても無視できないリスク要因と考えるべきだ。この問題を考えるために、半導体製造装置を手がける東京エレクトロンを取り上げてみたい。一昨年末まで、同社の株価はスマートフォン向けのメモリ需要などを取り込んで堅調に推移してきた。一昨年後半、“半導体スーパーサイクル論(長期的に半導体需要が増加するという強気な見方)”への期待から、同社株が2万3000円台まで上昇する局面もあった。一転して足許では、先行きを警戒する投資家が増えている。
世界のIT業界を直撃するスマホショック
昨年12月以降、米国と中国の貿易戦争への懸念が高まっている。特に、中国最大のスマートフォンメーカーであるファーウェイの副社長がカナダ当局に逮捕されたことは大きい。これを受けて、同社のスマホ販売が落ち込むとの懸念が急上昇している。それは世界経済に無視できない影響を与えるだろう。
副社長逮捕の背景には米国からの要請があったとの見方が多い。米司法省がファーウェイの取引などを調査してきたことを見ても、米国からファーウェイへの監視が強化されてきたことは確かだ。
これを受けて、世界のIT関連銘柄は総崩れの状況にある。これを“ファーウェイショック”と呼ぶこともできるが、世界経済に与えるマグニチュードを考えると“スマホショック”と呼ぶのがよいだろう。
そう考える理由は、スマートフォンがリーマンショック後の世界経済の成長を支えたからだ。そのなか、ファーウェイはシェアを伸ばし、世界第2位のスマートフォン企業にまで成長してきた。特許件数などを見ても、同社は世界有数のIT先端企業だ。