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小笠原泰「日本は大丈夫か」

日産ゴーン逮捕、崩れるルノーからの独立計画…逆に追い込まれた西川社長ら日本人経営陣

文=小笠原泰/明治大学国際日本学部教授
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日産ゴーン逮捕、崩れるルノーからの独立計画…逆に追い込まれた西川社長ら日本人経営陣の画像1日産の西川廣人社長(写真:ロイター/アフロ)

 会社法違反(特別背任)容疑で昨年12月に再逮捕されていた日産自動車前会長のカルロス・ゴーン氏について、東京地裁は12月31日、勾留を1月2日から10日間延長することを認めた。

 本稿では、ゴーン氏の逮捕に経産省をはじめとする日本政府が関与していないのかを状況証拠的に検証してみる。

 今回の事件では、東京地検特捜部が表に出てきたことで“国策捜査”という見方も浮上。逮捕に至る経緯をみると、昨年11月、G20首脳会談(アルゼンチン)の合間に安倍晋三首相はフランスのマクロン大領領と会談し、「民間の当事者で決めるべきで、政府がコミットするものではない」と発言をした。しかし、特捜部は、首相官邸や省庁からまったく独立して、ゴーン氏逮捕を進めたのだろうか。

 12月20日の東京地裁による勾留延長却下と準抗告の棄却を受けて、特捜部は翌21日にゴーン氏を特別背任容疑で逮捕した。東京地裁による異例の判断と、それに対して特捜部が特別背任容疑での逮捕という最終手段に出た事実は興味深い。2回に分けて金融商品取引法違反で逮捕し、裁判所による勾留延長却下という想定外の判断を受けて、特捜部は仕方なく前倒しで特別背任での逮捕に踏み切ったという見解が多い。

 特別背任容疑で逮捕できる十分な確信があれば、最初からそうしていたはずであり、特捜部も有罪に持ち込めるという十分な確信を持っていないのではないかという指摘も理解できる。穿った見方をすれば、日本の裁判所は、勾留延長却下と準抗告棄却、そしてゴーン氏とともに起訴されていた日産前代表取締役のグレッグ・ケリー氏の釈放と、「海外の世論を考慮した判断をします」とアピールする一方、特捜部は独自の論理で動いてゴーン氏の身柄を長く勾留するというバランスのとれた展開ともいえる。これが各組織独自の判断なのか、それとも全体が描かれたシナリオであるかは興味深い。

 中国大手通信機器のファーウェイ幹部がカナダで逮捕された事件との関連が噂される、中国でのカナダ人拘束について、解放を求める声が世界で広がり、中国外務省が「カナダや米国など各国の言論に強烈な不満と断固反対を表明する。中国の司法主権を尊重するよう促す」と反論。これは特捜部にとっては力強い援護射撃であろう。しかし、日本は欧米よりも中国に近いという欧米の論調の後押しでもある。

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