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北方領土、「4島一括返還」なんてない…「日本固有の領土」への疑問

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歯舞群島の一つ、水晶島にあるロシア正教会の教会堂(「Wikipedia」より/СтаниславС)

 北方領土問題解決への期待が高まっている。昨年11月14日夜にシンガポールで、安倍晋三首相がロシアのプーチン大統領と会談し、1956年の日ソ共同宣言を基礎に平和条約交渉を加速することで合意したからだ。

 その2年前のちょうど今頃も、北方領土がいよいよ返還されるのではないかとメディアが大騒ぎした。2016年12月15日、安倍首相が地元・山口県にプーチン大統領を招待して温泉旅館で会談したからだ。しかし、「北方領土での共同経済活動の実現に向けた具体的な交渉に入ることで合意」しただけで、“残念な結果”と受け止める世論が支配的だった。今回も歯舞群島と色丹島の2島返還が近づいたと見る向きがある。しかし、日本には「4島一括返還」の根強い世論もある。「2島先行返還」と「4島一括返還」、どちらに分があるのか。

 14年に筆者は新党大地の鈴木宗男代表に話を聞いたが、鈴木氏は「4島一括返還なんてない」ときっぱり言った。

「あちこちに2島だの4島だのという言葉が踊っているが、そもそも『4島一括返還』という言葉はない。確かに、ソ連時代に日本政府はそう言っていたし、返還の上にさらに『即時』まで付けていた。それは、旧ソ連が『領土問題はない』と言っていたからだ。しかし、1991年のソ連崩壊後、日本は段階的な解決論に方針転換した。だから、日本政府は91年以降、『4島』なんて言ったことがない。マスコミはそんなことも勉強せず、私を『2島先行返還論者』として国賊扱いした」

 少し歴史を振り返っておく。

 日本は51年9月8日のサンフランシスコ講和条約で、千島列島を放棄した。西村熊雄外務省条約局長(当時)は、その千島列島に国後・択捉が含まれると国会で答弁した。歯舞と色丹は北海道の一部という説明だった。56年の日ソ共同宣言とは、当時の鳩山一郎首相とソ連のフルシチョフ第一書記との間で結ばれた条約で、そこには、「平和条約締結後に、歯舞群島と色丹島を日本に引き渡す」と明記されている。ソ連はサンフランシスコ講和条約に署名していなかったため、日ソ国交正常化はこの共同宣言でなされた。

「2006年に国会で、西村熊雄の答弁が今も有効なのかどうか質問したが、政府は有効だと言っている。日本の政治家のなかにも、サンフランシスコ講和条約はソ連が署名していないので、日本は放棄していないことになると、すり替えの答弁をしていた人もいた。また、1956年にアメリカは『ソ連と平和条約を結ぶのなら沖縄は還さない』と恫喝してきた事実もある」(鈴木代表)

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