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ポスト五輪の東京~2020年以降も勝つまち、負けるまち~一極集中を裏で支える東京の本当の実力

「東京一極集中」のまやかし…外国人の増加が際立つ5区

文=池田利道/東京23区研究所所長

外国人は「首都圏一極集中」状態

 東京一極集中に話を戻そう。前述したように「国勢調査」の外国人データはあまり当てにならないので、住民基本台帳のデータを見ることにする。

 図表2に示した通り、18年1月1日時点で日本人の首都圏への集中率は28.3%。東京23区への集中率は7.2%。これに対して、外国人の集中率はそれぞれ41.1%、17.6%。外国人に限っていえば、間違いなく首都圏一極集中の状態にある。

「東京一極集中」のまやかし…外国人の増加が際立つ5区の画像3

 外国の人が我が国で暮らしていくためには、住む場所の確保や自治体の受け入れ態勢が大きな壁となる。それは首都圏でも変わりないのかもしれないが、地方と比べれば、環境整備がずっと進んでいる。それ以上に、外国人が祖国を離れて日本で暮らしていくとき、一番頼りになるのは同胞の存在だ。そのため、同胞が多く住む首都圏に外国人が集まってくるのは、ごく自然な結果にほかならない。

 出入国管理法が改正され、19年度から外国人労働者の受け入れ枠が拡大されることになった。その是非をここで問うつもりはない。しかし、現状において外国人労働者が増えれば、その当然の帰結として首都圏への一極集中は進む。右手で首都圏一極集中の是正を唱え、左手で現状のままでの入管法改正を進めようとするのは、どう考えても理にかなわない。

 外国人はレアケースと考えるのは決定的に間違っている。15年10月~18年10月の3年間の23区の人口(住民基本台帳ベース)は各区とも増加しているが、外国人の増加数が日本人の増加数を上回っている区が、豊島を筆頭に江戸川、足立、中野、葛飾の5区に及ぶ。23区の平均で見ても、人口増加数の3割以上(31.2%)を外国人が占めている。

 外国人の集中は、東京一極集中を語る上でもはや無視できない存在となった。この現実を見ないことにして東京一極集中を語ることは、無責任のそしりを免れることができない。

 少なくとも、多くの人たちが疑いもしない東京の「常識」がデータに照らせば「非常識」だったという実態は、あらためて問い直してみる必要がありそうだ。
(文=池田利道/東京23区研究所所長)

池田利道/東京23区研究所所長

池田利道/東京23区研究所所長

東京大学都市工学科大学院修士修了。(財)東京都政調査会で東京の都市計画に携わった後、㈱マイカル総合研究所主席研究員として商業主導型まちづくりの企画・事業化に従事。その後、まちづくりコンサルタント会社の主宰を経て現職。
一般社団法人 東京23区研究所

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