皇太子さまが天皇に即位される5月1日と、即位を内外に示す「即位礼正殿の儀」が行われる10月22日を、2019年に限って祝日とする特別法が成立した。祝日法によって「祝日に挟まれた平日は休日」となるため、今年のゴールデンウイークは4月27日から5月6日まで10連休となる。
外出する人が増えるので、旅行・観光業界は大歓迎だろう。サービス業や小売業も特需が期待できる。改元に合わせたセールや記念品の発売など、マーケティングとしては狙い目だ。お酒好きは飲酒量が増えるかもしれないので、酒類業界にも追い風だ。10月には消費税アップが予定されているだけに、お祝いムード一色のなかでさまざまな駆け込み需要が出てくるタイミングでもある。ただ、小売やサービス業は恒常的に人手不足なので、働いている人はさらに忙しくなりそうだ。
休日を増やして一斉に休むのは時代錯誤
実は、この超大型連休はメリットだけでなくデメリットも多い。小売やサービス業が多忙になるのとは対照的に、オフィスで働く非正規雇用労働者の手取り収入は大幅に減ってしまう。10連休だと、人によっては月収の3分の1近くがなくなるかもしれない。
基本的に役所は閉まるため、行政サービスは低下する。婚姻や出生・死亡など、戸籍関連の届出対応は各自治体で検討している。医療への影響は深刻だ。病院の救急外来や透析などは通常通りの運営だが、外来診療は10日間も休診することになる。手術も連休の間はほとんど行われない可能性が高い。全国の病院の多くが所属する「日本病院団体協議会」は対応を検討中だ。
10日も連続して休むと、多くの業界では休み明けに業務集中が起きる。例えば、メーカーは連休前に生産を増やして在庫を積み増すので、連休前後の流通量が激増するだろう。あるシンクタンクのエコノミストはこう話す。
「小売・外食はもちろん、物流を支えるトラック業界が、連休前後、あるいは連休中の人手を確保して、きちんとしたサービスを提供できるか心配」
IT業界からはこんな指摘もある。
「改元にあたり企業のシステム対応が心配だ。10月の消費増税に向けてシステム対応やキャッシュレス対応が実施されているが、エンジニアが不足している。コスト負担も大きく、中小・零細企業の中には、伝票なども改元に対応できす、やむなく『平成』で続けるところも出かねない」