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鈴木貴博「経済を読む“目玉”」

グーグルら巨大IT企業の自動運転技術は、コンセプト面で日本車メーカーに歴然たる差

文=鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役
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グーグルら巨大IT企業の自動運転技術は、コンセプト面で日本車メーカーに歴然たる差の画像1「Gettyimages」より

 今、非常におもしろいのが自動車業界です。特にAI(人工知能)が本格的にディープラーニングを身に着けた2012年以降に開発が進んだ、最新の自動運転技術搭載車が、日本車のラインナップの中で増加しています。

 ただ、たとえばトヨタ自動車はこれらの技術を自動運転と呼ばないようにしています。消費者が自動運転だと誤解して事故を起こす可能性があるからです。とはいえ今回の記事は自動運転技術のことを論じる記事なので、自動運転の世界共通の定義に従って、日本車メーカーの現在地とこれからの課題を説明したいと思います。

自動運転の現在地

 自動運転の世界的な定義では0から5までの6段階があって、レベル0は運転手がすべて自分で操作をする普通の車のことです。場所に関係なくすべての道路で自動運転が行われる車がレベル5と呼ばれる段階、高速道路など特定の場所なら運転者が不要というのがレベル4の段階ですが、現時点では世界のどのメーカーも、まだこの段階には達していません。

 ほとんどのメーカーは自動ブレーキを導入しているといったレベル1か、高速道路で運転手の負担を減らす自動追随走行ができるシステムを導入したレベル2といった運転支援が実現している段階にあります。これから数年かけて、高速道路など特定の場所であれば基本的にシステムが運転を行い、緊急時だけ運転手が操作をするというレベル3の自動運転車の開発に期待がかかっていきます。

 具体的な商品でこの現状をみてみましょう。トヨタ自動車では現在、サポカーというブランドネームでさまざまな車種に対して安全サポート技術を導入しています。レベル1の技術に相当するものでは、前方に歩行者や車などがいて、このまま直進すると衝突することを検知してブレーキアシストが作動するという仕組みがあります。こうした自動ブレーキの技術は、多くの車種で採用されています。

 また走行レーンをはみ出したら警告音がするとか、信号待ちの際に前の車が動きだしたのに気づいていなければ警告音がするといった具合に、運転手の注意力不足から起きる失敗をアラートしてくれる仕組みも、サポカーには同様に備わっています。

 こういったレベル1の運転支援技術は他の日本車メーカーでも、すでに多くの新車に広まろうとしているのが現状です。

 一方で、高速道路で速度を一定に保ったり、車間を一定に保ち、かつレーンを認識しながらハンドルも自動で操作をするようなレベル2の運転支援技術となると、まだ各社で導入にばらつきがあります。

鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役

鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役

事業戦略コンサルタント。百年コンサルティング代表取締役。1986年、ボストンコンサルティンググループ入社。持ち前の分析力と洞察力を武器に、企業間の複雑な競争原理を解明する専門家として13年にわたり活躍。伝説のコンサルタントと呼ばれる。ネットイヤーグループ(東証マザーズ上場)の起業に参画後、03年に独立し、百年コンサルティングを創業。以来、最も創造的でかつ「がつん!」とインパクトのある事業戦略作りができるアドバイザーとして大企業からの注文が途絶えたことがない。主な著書に『日本経済復活の書』『日本経済予言の書』(PHP研究所)、『戦略思考トレーニング』シリーズ(日本経済新聞出版社)、『仕事消滅』(講談社)などがある。
百年コンサルティング 代表 鈴木貴博公式ページ

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