ビジネスジャーナル > ライフニュース > 市販から揚げ原料、揚げ油には毒性も
NEW
南清貴「すぐにできる、正しい食、間違った食」

市販の「から揚げ」、原料は異臭放つ外国産鶏肉、揚げ油には強い毒性の過酸化脂質

文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事
市販の「から揚げ」、原料は異臭放つ外国産鶏肉、揚げ油には強い毒性の過酸化脂質の画像1「Getty Images」より

 いよいよ新しい元号も決まり、あと数年もたてば「平成」という時代を懐かしく思ったりするのでしょう。「昭和」も同じように懐かしく思い出したものでした。平成の時代に生まれた子供たちの「好きな食べものランキング」で第1位に輝いたのはカレーライスでした。第2位は寿司、第3位はから揚げという順位です。

 また、昭和生まれの大人たちの「好きな食べものランキング」の第1位は、やはりカレーライスです。カレーが“国民食”と呼ばれるのもむべなるかなという感じです。興味深いのは、第2位にから揚げがランキングしていることです。ちなみに第3位はハンバーグ。これを見ると、から揚げもカレーに準ずる国民食と言えるかもしれません。

 筆者は、まったくと言っていいほどから揚げを食べませんが、絶対に食べないと決めているわけでもありません。最後にから揚げを食べたのは、今から2年半ほど前です。博多で6人ほどの友人たちと居酒屋で飲んだ時に友人がオーダーしたので、ひとつだけ頂きました。“そこそこ”品のある店ではありましたが、初めて行ったので、どの程度の素材を使っているのか見当がつかなかったため、まずはひとつだけ食べてみたのです。から揚げには、別添でちょっと辛味のあるソースが添えられていましたが、これは明らかに業務用のものでしたので、手をつけませんでした。一緒にいた友人たちにも、「このソースは食べなくていいから」と言い、端に寄せました。

市販の「から揚げ」、原料は異臭放つ外国産鶏肉、揚げ油には強い毒性の過酸化脂質の画像2

 筆者は仕事でいろいろな現場に行きますが、から揚げ用の鶏肉のパックを開く時は緊張が走ります。外国産の鶏肉が使われているケースが圧倒的に多いのですが、とにかくクサいのです。独特の異臭がします。から揚げ用の大きさにカットされて、5キログラムほどのパック詰めで冷凍されて現場に届きます。それを店舗で味付けをして揚げるという工程ですが、味付けの方法は、パウダー状のから揚げ粉をつける場合と、液体の調味料で下味をつけてから粉をまぶす場合があります。しかし、どちらも強烈な味付けになっています。

 そして、それを揚げると肉の異臭は消え、それなりの味のから揚げができあがり、盛り付けされてお客のテーブルに運ばれます。お客は、パックの封を切った時の異臭など知る由もないので、おいしそうに食べるのです。この揚げ油にも、さまざまな問題が潜んでいますが、そのことに関しては本連載前回記事で述べているので、参考にしてください。

 国民食と言ってもいいほどの人気メニューであるから揚げですが、信頼のおける店以外では食べないほうがいいかもしれません。実際に筆者は、めったにから揚げを食べません。よく考えてみると、筆者がよく行く店には、そもそもから揚げというメニューがありません。

揚げ油にも注意が必要

 ここまで読んで、「そうか、よくわかった。もう外食や、ましてやスーパー、コンビニのから揚げは食べない。今後は、から揚げは自分の家でつくって食べることにする。そうすれば、国産の品質の良い鶏肉を選べ、味付けも自分でできるから安心だ」とお考えの読者諸姉諸兄、少々お待ちください。

 その考え自体は大変結構ですが、揚げ油もちゃんと選んでください。鶏肉だけではなく、揚げ油にも最大限、気を遣ったほうがいいと思います。最近では、「から揚げ専用油」が製造・販売されていますが、これには重大な問題があると筆者は考えています。

 成分表に「えごま油」と書かれている商品がありますが、もしこれが事実であれば大変なことです。なぜなら、えごま油にはオメガ3脂肪酸が多量に含まれています。これは、亜麻仁油などにも同様に含まれている「必須脂肪酸」のひとつで、私たちの健康に欠かせないものですが、一方でこのオメガ3脂肪酸は70度を超えると分解が始まり、極度に酸化してしまうという弱点もあります。酸化した油は、過酸化脂質という強い毒性のある物質に変化し、私たちの体に大きなダメージを与えます。そんな成分が入っている油を揚げ油として使うのは、危険だと筆者は考えます。

 また、から揚げ専用油には、アラキドン酸含有油脂も含まれているようですが、このアラキドン酸は私たちの体の中で炎症系の体内調整物質(エイコサノイド)に代謝されます。その炎症系エイコサノイドこそが、あらゆる生活習慣病の原因物質であることは、すでに本連載の記事でも紹介してきました。

「国内製造」のワナ

 加えて、「食用大豆油(国内製造)」と書かれていますが、製造しているのが国内というだけで、原材料はアメリカ産とブラジル産の大豆がほとんどです。要するに「遺伝子組み換え食品」です。あえて「国内製造」と表記することで、無知な一般の消費者に何かを錯覚させようとする意図すら感じます。

「この油を使うと、しょうがの香りがする」とも書かれていますが、言うまでもなく「香料」を使っているためで、しょうが汁を加えているわけではありません。

 メーカー側、販売側に悪意があるのかどうかは、筆者にはわかりません。そして、この商品以外にも、私たちの体にダメージを与える食品は数限りなく販売されています。だからといって企業を責めても、なんの意味もなく、また筆者はそのような意思も持っていません。彼らには彼らなりの正当性があるのだと思います。だから、私たちにできることは、きちんとした知識・情報に基づいて、自分や家族が食べるべきものを選択する、ということだけです。

 多くの国民が好んで食べるから揚げだからこそ、それにまつわる商品をつくれば、ある程度の売り上げが見込めます。企業は当然、そこに目をつけて、から揚げという料理に特化した商品を開発し、販売し、売り上げを上げたいと考えるでしょう。企業活動として普通に行われていることです。しかし、そのために私たち自身が健康を損ない、犠牲になる必要はありません。調理の際に高温となり、結果的に過酸化脂質を生ずることとなり、それを食した人の健康を害したとしても、それで企業や責任者が罪に問われることはないでしょう。加えて、この因果関係を証明することはほとんど不可能です。だから、食べる側が、ある程度の知識・情報を得て、それに基づいた選択をして、自分と家族を守る以外に手立てはありません。

 日々の食事は、「いつかやればいい」というものではないのです。食生活の改善は今すぐ始めても、なんら損失はありません。それどころか、早く始めれば始めるほどそれだけ早く恩恵を受けることができます。一日も早く、皆さまが“家庭料理のシステム化”に目覚められることを願っています。
(文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事)

「家庭料理のシステム化」を学ぶことができる、一般社団法人 日本オーガニックレストラン協会/JORAの『オンライン基礎講座』
詳細情報は こちらから → http://lp.organic-restaurant.jp/

南清貴

南清貴

フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会
代表理事。舞台演出の勉強の一環として整体を学んだことをきっかけに、体と食の関係の重要さに気づき、栄養学を徹底的に学ぶ。1995年、渋谷区代々木上原にオーガニックレストランの草分け「キヨズキッチン」を開業。2005年より「ナチュラルエイジング」というキーワードを打ち立て、全国のレストラン、カフェ、デリカテッセンなどの業態開発、企業内社員食堂や、クリニック、ホテル、スパなどのフードメニュー開発、講演活動などに力を注ぐ。最新の栄養学を料理の中心に据え、自然食やマクロビオティックとは一線を画した新しいタイプの創作料理を考案・提供し、業界やマスコミからも注目を浴びる。親しみある人柄に、著名人やモデル、医師、経営者などのファンも多い。

市販の「から揚げ」、原料は異臭放つ外国産鶏肉、揚げ油には強い毒性の過酸化脂質のページです。ビジネスジャーナルは、ライフ、, , , , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!