10年前、2008年は中国産農薬メタミドホス入り餃子事件で始まりました。さまざまな食材から次々とメタミドホス、ジクロルボスなどの農薬が検出され、多くの健康被害が生まれました。
08年の春ごろから、中国産ウナギから日本では使用が許されていない抗菌剤マラカイトグリーンが続々と検出され、9月には三笠フーズの事故米事件で中国産米にメタミドホスが混入していたことが明らかになりました。さらに中国の国内では毒性が強いメラミンを混ぜた粉ミルクが大量に売られ、飲んだ幼児が多数死亡、腎臓障害を起こした被害者は3万人を超えるという重大事件が発生しました。
食品に含まれるたんぱく質は測定できないので、「たんぱく質など」を窒素化合物に変換し、その値に食品ごとの係数をかけてたんぱく質の量を算出します。メラミンは窒素を分子中にたくさん含むので、食品に加えると分析上タンパク質が増えたようにみえます。ですから牛乳に水とメラミンを計算して加えておけば、「水増し」牛乳ができます。バレなければ事業者はまさにボロ儲けとなります。
水増し牛乳を製造した事業者の牛乳が、丸大食品の製品に使われて日本で販売されていることが明らかになりました。同社のような大手でも見抜けなかったのですが、このような現実は今でも変わっておりません。
わが国は中国産の農産物、養殖ウナギ、加工食品については、かなり気をつけるようになっていますが、とんでもない大きな見落としがあるのです。
それは添加物です。中国はいまや添加物の大量生産国となっているのです。中国産添加物について問題点を、
(1)添加物そのものが大量に輸入されている点
(2)添加物を含む食品が大量に輸入されている点
の2つに分けて考えてみましょう。
中国産の添加物が大量に輸入されている
今や中国は添加物の生産大国です。中国や東南アジアから日本に大量の添加物が輸入されている実態を、ご存じでしょうか。いうまでもありませんが、輸入された中国産の添加物は、日本で流通する食品に使用されます。安価なので、食品にたっぷりと添加され毎日私たちの身体に入り込んでいます。
では、実際にどれくらいの量の添加物が、中国から輸入されているのでしょうか。最新のデータを示しましょう。厚労省医薬食品局食品安全部、平成27年8月公表の資料(平成26年度の輸入統計)から一部抜粋したものです。
表より、輸入時の検査は完全でないことがわかります。例えば調味料の場合、1028回輸入されているうち、検査されたのは123回だけです。
また、検査の内容は、主に重金属、ヒ素の含有量の分析が中心ですが、これで国民の安全は守れるのでしょうか。食品の原材料の表示において、添加物の原産国は記載しなくてもよいことになっていますが、早急に見直しが必要だと考えます。
(文=小薮浩二郎/食品メーカー顧問)