
大手通販サイトAmazon.co.jp(アマゾン)が開催したブラックフライデーセール(11月22~24日)について、「一部の商品の通常価格を引き上げて、値引き感を演出しているのではないか」といった指摘が相次いでいる。アマゾンでは、以前にも同様の手法で“値引き感の演出”がたびたび行われている。消費者庁は2017年、「実際の販売価格が当該価格に比して安いかのように示していた」と景品表示法違反に基づく措置命令を出していた。
実質的な3割引を「92%OFF」という表示に
ITmedia NEWSなど複数の報道によると、アマゾンではセールで期間中、15~90%オフで食品や家電などを販売していた。そのなかで問題となっていたのは、ワイヤレスイヤフォンなど複数の商品。あるイヤフォンは「通常価格の92%引き」をうたい3000円ほどで販売されていたが、まったく同じ商品がセール前に数千円から1万円ほどで販売されていたという。実際は3~7割引だった。
こうした行為は景品表示法の「不当な二重価格表示」にあたる可能性がある。同様のケースは、消費者庁がアマゾンに同法違反に基づく措置命令を出した際にも多くみられた。だが、今回の件に関して、Twitter上では次のように指摘が出ている。
「出品していた事業者は、既存販売品をわざわざ別ページ(ASIN)で出してるのが多く疑問に思ったものの、これ通格をめちゃ引き上げ超値引き感を演出してるのをkeepaのような価格トラッキングで悟られないための対策なのね…」(原文ママ)
つまり、消費者が不当な割引価格に騙されないように使用している「商品の価格追跡アプリ」を逃れるような出品方式になっていたということだ。これまでのケースより、手口が巧妙になっていることがうかがえる。当サイトは、この問題に関してアマゾンジャパン広報に問い合わせ、次のような回答を得た。
「価格については、出品者自身が、出品商品の価格を設定しています。Amazonは、サイトを常に監視しながら、規約に違反していると判断される出品については、速やかに出品の取下げなどの措置を講じております」
アマゾン本体の関与はないのか?
業者が二重価格表示を行い、その業者に対してアマゾンが出品取り下げ措置をする。もはや、イタチごっこの様相を呈してきている。今後もこうしたトラブルは発生し続けるのだろうか。ITジャーナリストの三上洋氏は今回の問題を次のように見る。