仕事の合間に時間をかけずに副収入を得たい。
ここ数年、多くの人が持っているこんな願いに応えてきたのが、Amazonを利用した個人ビジネスだ。具体的にいえば、量販店やネット通販で安く商品を入手し、Amazonで高値で売る、いわゆる「転売」や「せどり」である。
現在も参入する人が後を絶たないこのビジネス。しかし、最近状況が変わってきていることに警鐘を鳴らしているのが『Amazon国内メーカー直取引完全ガイド (せどり、転売はもう古い! 初めてでも、個人でもできる)』(standards刊)の著者、中村裕紀さんだ。
■Amazon転売・Amazonせどりはどんどん稼げなくなっている
転売やせどりは、「安く買って、Amazonで高く売る」というシンプルなビジネス構造だけに、参入が簡単だ。売れる商品を見つけても、すぐにライバルが参入してレッドオーシャン化してしまう。
こうなると、ほぼ間違いなくその商品は値下げ競争に巻き込まれることになる。ライバルが増えることで利幅も売れる個数も減る。売り上げを保つには、常にリサーチを重ねて、売れる商品を開拓しつづけないといけない。これは手間と時間がかかり、副業でやっていくのはかなりの負担だろう。
参入する人が増えた今、転売やせどりは安定して売り上げをたてることが極めて難しくなっているのだ。
また、Amazon側の態度も変わってきている。
中村さんによると、現在Amazonは転売目的で仕入れた商品について出品規制を強めており、アカウント停止やアカウント閉鎖のリスクが高まってきているという。
Amazonの企業理念は 「地球上で最もお客様を大切にする企業になる」だ。商品を横流しするだけの転売やせどりは、顧客のためにならないと考えていてもおかしくはない。ちなみに転売品への出品規制はAmazonに限った話ではなく、楽天やヤフーショップなど他のプラットフォームでも同様だそう。
こうしたAmazonの姿勢は出品規約に表れている。
・個人(個人事業主を除く)から仕入れられた商品
・メーカーが提供する保証がある場合、保証期間その他の条件において、メーカーの正規販売店と同等のメーカー保証を購入者が受けられない商品
・Amazon.co.jp上(Amazonマーケットプレイスを含む)で仕入れられた商品
これらの商品は、現在Amazonに「新品」として出品できない(2019年11月12日現在。Amazonコンディションガイドラインより引用)。
特に2点目の「メーカー保証」については、厳密に言えばほとんどすべての転売商品出品者は「アウト」だろう。つまり、転売やせどり目的で出品している人は、いつ出品規約違反としてアカウント停止等の措置をうけてもおかしくないことになる。
◇
転売やせどりを巡る状況が厳しくなっている一方で、個人が商品を売るプラットフォームとして、Amazonが魅力的なことは変わらない。それならば、量販店やネット通販を通して買うのではなく、商品を製造している「メーカー」から直接商品を仕入れて、販売すればいいというのが中村さんの考えだ。本書では参入方法や利益を出すための方法などについて解説している。
製造者から直に商品を買えば安く仕入れができ、利益が出やすい。また、転売ではないためAmazonの規約におびえる必要はなく、品質の保証もしやすいというわけだ。
安全に、そして堅実かつ長期的に収入を得ていきたい人は、本書で明かされている中村さんのノウハウは役立つはず。参考にしてどこの会社のどんな商品を売るか考えてみてはいかがだろう。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。