新型肺炎に罹らない6つの生活習慣…日本酒の熱燗や紅茶、マスクは1日5回交換、サウナ
2019年12月31日、中国湖北省武漢市当局は「27人の原因不明の肺炎が発症した」と発表し、患者は湖北省武漢市にある海鮮市場関係者に集中していたため、今月1日には同市の海鮮市場が閉鎖された。
当初、中国当局は「人から人への感染の証拠はない」とし、日本の厚生労働省も「通常の生活をしている人が感染するリスクは極めて低い」と高を括っていた。しかし、感染者が武漢市以外の北京、広東省、上海など中国のほかの地域や、韓国、台湾、日本、タイ、米国、フランス、オーストラリアなどでも確認され、世界の「新型肺炎」に対する認識が変わってきた。27日までの「新型肺炎」の発症者は中国全土で2700人以上、死者は80人になった。
「人から人へ感染している可能性が非常に強い」(1月20日:北京大学・王月丹教授)
「空港などでの水際対策をしっかりとる」(1月21日:国土交通省)
「中国からの入国時の検疫体制を強化する」(1月21日:加藤勝信厚生労働大臣)
新型肺炎の病原体は「コロナウイルス」とされている。人に感染症を起こすコロナウイルスは数種類確認されているが、感染しても風邪などの軽い症状を起こす者がほとんどだ。しかし、コロナウイルスのなかには、2002~03年に中国で流行した「SARS(重症急性呼吸器症候群)」や中東地域で今も発生している「MERS(中東呼吸器症候群)」のように重篤化するものもある。
SARSは罹患者8069人、死亡者775人で致死率は9.6%。MERSは罹患者2494人、死亡者858人で死亡率は34.4%と、一般の肺炎の致死率の数倍にもなる。新型肺炎の病原体のコロナウイルスがSARSのそれと遺伝子構造が似ており、事は穏やかではない。
03年当時、SARSは春節(中国の旧正月)の帰省ラッシュで莫大な数の旅行者が移動したため急速に感染が拡大したとされている。今年の春節は1月24~30日で、その前後も合わせると約30億人の中国人が移動するという。日本にも毎年1月、2月には月間約70万人の中国人観光客が訪れるので、新型肺炎の日本での流行も心配になってくる。
検疫の効果も限定的である。肺炎の潜伏期に入国されたら、「発熱」などによるチェックができない。
とにかく体を冷やさない
コロナウイルスは咳などを通じて飛沫感染しやすい。ウイルスは咳により、鼻や口、呼吸器に侵入していくし、飛沫したウイルスが電車のつり革、パソコンやエレベーター、便座のボタン、ドアノブ、受話器、手すりなどに付着し、そうしたウイルスに手を触れ、口や鼻から体内へと入っていく。よって、新型肺炎の予防法も一般の風邪やインフルエンザと同じでよい。
(1) 人混みへ出ていくのは極力避ける
(2) マスクを常時着用して、1日4~5回は取り替える。マスクの効用は以下のとおり。
・飛沫によるウイルスの口、鼻への侵入を防ぐ。
・感染した手で口や鼻に触れるのを防ぐ。
・口腔、鼻腔内の湿度を保ち、ウイルスが生存しにくい環境をつくる。
・口腔内の体温が上昇することで、免疫細胞(白血球)の殺ウイルス作用が高まる。
(3) 手洗いを励行する。特に指先、指と指の間、爪の中は念入りに。
(4) うがいを励行する
(5) 室内は、ウイルスが生存・活動しやすい乾燥状態は避け、加湿器で湿度60%くらいになるように保つ。
以上が一般にいわれている対策である。
しかし、「新型肺炎」に感染した人のなかでも、重篤化して死ぬ人、逆に回復して退院した人もいらっしゃる。その差は、ウイルスに対する抵抗力、ありていにいえば「免疫力」の強弱である。免疫力(白血球の力)は体温が1℃低下すると約30%低下し、逆に1℃上昇すると一時的(数時間)ではあるが数倍になる、という研究もある。
よって、日々の生活で以下のような行動を、できるものを1つでも2つでも励行されるとよい。
(1) 体を冷やさぬこと
(2) 衣服の重ね着、マフラー、マスク、腹巻、使い捨てカイロ(腹や背中)などで体を温める
(3) 日本酒や紹興酒の熱燗、鍋焼きうどん、すき焼きなど、食べているはなから発汗するような物を積極的に食べる。発汗するときは1℃ほど体温が上昇している。
(4) 熱い紅茶にすりおろし生姜と黒糖またはハチミツを、「旨い」と感じる量加えて1回3~4杯飲むと体が温まり、免疫力が上がる。生姜のジンゲロールとショウガオールには、抗菌・抗ウイルス作用がある。ちなみに紅茶の赤い色素、テアフラビンに抗ウイルス作用があるが、今回の新型ウイルスに関しては効果は不明。
(5) シャワーで済ませず、湯船での入浴を心掛け、サウナ、岩盤浴なども大いに利用する。
(6) 異常(寒気、咳、体のだるさ)を感じたら、熱い湯や紅茶で葛根湯を服用する。30分もすると発汗し、そうした異常症状がスーッと抜けていくことが多い。
(文=石原結實/イシハラクリニック院長、医学博士)