睡眠薬や精神安定剤、服用で認知症や強い依存症の危険…処方量が韓国の20倍の異常さ
今回は、9月28日に「麻薬及び向精神薬取締法」に規定する「向精神薬」に指定された薬剤についてのお話です。精神安定剤のエチゾラム(先発品名:デパス)と睡眠障害改善薬のゾピクロン(同アモバン)について盛り上がっています。
中央社会保険医療協議会総会で、投薬期間の上限が30日と定められました。今まで両薬剤は、患者が希望すれば90日でも処方可能でしたが、これからは「向精神薬」に分類されるので30日を上限としたのです。厚生労働省からの通知で、11月から30日以内の処方が徹底されます。
病院・クリニックの常備本でもある『今日の治療薬』によると、エチゾラムはチエノトリアゾロジアゼピン系抗不安薬で半減期は約6時間です。ゾピクロンは非ベンゾジアゼピン系睡眠薬で半減期は3.5~6.5時間です。半減期とは、血液のなかの薬剤濃度が半分になる時間で、簡単にいえば作用時間ですが、エチゾラムは短時間型、ゾピクロンは超短時間型に分類されます。ゾピクロンは非ベンゾジアゼピン系となっていますが、ベンゾジアゼピン系受容体に結合して作用するのでベンゾジアゼピン系類似薬になります。このベンゾジアゼピン系薬剤およびベンゾジアゼピン系類似薬は、以前より依存症になりやすいと警告されていたものです。依存になりやすい状況は、以下の通りです。
・効果が強いものほど依存になりやすい
・半減期(作用時間)が短いほど依存になりやすい
・内服期間が長いほど依存になりやすい
・服用量が多いほど依存になりやすい
依存とは何かというと、アルコール依存症などが有名でしょう。体に悪いとわかっていても止められないという状態です。やめるとかえって病状が悪化するという状態です。最近はスマートフォン依存症なども増加しています。
認知症を来す可能性
さて、“極論君”は「ベンゾジアゼピン系薬剤はすべて追放すべき」という意見です。まず、日本ではあまりにも安易にベンゾジアゼピン系薬剤が処方されています。アメリカの8倍、スペインの3倍、韓国の20倍も処方されているというデータもあります。安易に飲み過ぎている結果と思います。実際にイギリスなどでは基本的に4週間以上は処方されません。
『今日の治療薬』にも認知症を来す可能性のある薬物の中に、睡眠薬や向精神薬が含まれています。基本的に追放すべきと思います。患者さんに「これを飲んでいると認知症になる危険があるのですよ。本にも書いてあるでしょ!」と説明すると、本気で止める努力をする患者さんはたくさんいます。