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大塚家具はヤマダ電機の“救済”で再建可能か。揺らぐ業界トップの座…極めて低い相乗効果

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント
【完了】ヤマダ電機、大塚家具救済で揺らぐ業界トップの座…極めて低い相乗効果の画像1
LABI1日本総本店 池袋(写真:アフロ)

 家電量販店最大手のヤマダ電機は2月7日、大塚家具が扱う商品を販売する家電量販店を東京と大阪に4店舗、同時にリニューアルオープンした。ヤマダは家電と家具の併売を強化して暮らしにまつわる商品を複合的に提案し、販売を拡大させたい考えだ。

 だが、安売りのイメージが強いヤマダの家電と、中・高級家具を販売する大塚家具の家具を一緒に販売して相乗効果が得られるかは未知数だ。はたして両社の協業はうまくいくのか。

 新たにリニューアルオープンしたのは、「LABI1日本総本店 池袋」(東京都豊島区)、「LABI品 川大井町」(同品川区)、「LABI LIFE SELECT 千里」(大阪府 豊中市)、「LABI1なんば」(大阪市)の4店舗。家電とともに大塚家具の商品を販売する。

 ヤマダと大塚家具は2019年2月に業務提携し、12月にヤマダが大塚家具の第三者割当増資を引き受けて子会社化した。これを機に大塚家具によるヤマダへの商品供給が進み、大塚家具の商品を展開する店舗は18店から34店にまで拡大した。

 大塚家具は販売不振により、18年12月期まで3期連続で最終赤字になるなど苦戦が続いている。それに伴い財務状況が悪化していたため、ヤマダからの出資で財務状況の改善を図った。また、ヤマダへの商品供給で収益拡大を目指している。

 一方のヤマダは、家電市場が頭打ちになるなかで住宅関連事業を収益の柱にしようとしており、大塚家具の商品を増やすことで品ぞろえの強化を図りたい考えだ。また、ヤマダは17年から家電に加えて家具などを販売し、住空間をトータルで提案する「家電住まいる館」の展開を始め、19年12 月末時点で108店を展開するまでに拡大したが、大塚家具の商品が増えることで提案力の強化も図る。

相乗効果が低いヤマダ電機と大塚家具

 こうした状況のなか、ヤマダは大塚家具の商品を置いた店舗を4店舗同時オープンした。そこで筆者は「LABI1日本総本店 池袋」を訪れてみた。

 同店では、地下1階のフロアに大塚家具の商品を大々的に展開している。品ぞろえは、中価格帯のソファーやダイニングセットなどが中心。こうした家具などを家庭の部屋のように並べ、所々にテレビや電子レンジなどの家電を置いていた。こうしたかたちで「暮らしにまつわる商品を複合的に提案」するということだろう。

 ただ、家電の配置は圧倒的に少なく、申し訳程度にしかない。コラボによる相乗効果を狙っている意図はほとんど感じられない。

 上階の一部コーナーでもコラボ展開はある。たとえば、テレビのコーナーに大塚家具のソファーを売り物として配置しているといった具合だ。テレビを見るためのソファーを提案するということだろう。だが、買い替えサイクルが異なるテレビとソファーを一緒に買う人がどれだけいるのかは、疑問だ。

 やはり、安売りのイメージが強いヤマダと高級家具を扱う大塚家具のコラボによる直接的な相乗効果は限定的だろう。大塚家具の商品を目的とした客が、ヤマダの家電をついでに買うケースは多少あるかもしれないが、その逆はほとんどないのではないか。

 また、大塚家具がターゲットとする比較的裕福な人が、ヤマダで大塚家具の商品を購入するかは微妙なところだ。大塚家具の商品を置いたフロアで集客ができなければ、大塚家具の商品を目的とした客のヤマダの家電コーナーへの送客も見込めない。

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