トップ企業44社・創業家の血縁物語…美智子上皇后は日本製粉、安倍昭恵夫人は森永製菓の画像1
16年、セブン&アイHD 会長の引退を表明した鈴木敏文氏(写真:東洋経済/アフロ)

 イオンが23年ぶりに社長交代を決めた。岡田元也社長は会長に残るが、創業家が引っ張ってきた昭和、平成の時代の終わりを告げる象徴的な人事だった。岡田家の御曹司、岡田尚也氏が2019年3月、フランス発祥の有機食品などのオーガニック専門スーパー、ビオセボン・ジャパンの社長に就任した。尚也氏は岡田元也社長の長男。岡田卓也名誉会長相談役の孫だ。元也社長はかねて「世襲は私で終わり」と口にしていたが、額面通り受け取る向きは少なかった。

 創業者の卓也氏は、長男の元也氏をグループのコンビニエンスストア・ミニストップの店長に就け、小売業の最前線を経験させた。その後、トップに引き上げた前例があるだけに、尚也氏の人事に関心が集まる。元也氏も、尚也氏にミニ食品スーパー「まいばすけっと」の店長を経験させてから、元也氏の肝いりの事業であるビオセボン・ジャパンの社長に据えた。オーガニック食品のリーディングカンパニーになれば、尚也氏の後継の座が視野に入ってくる。

 卓也氏と元也氏は、ダイエーに追いつき追い越せという強い気持ちで業容を拡大し、とうとう、そのダイエーを傘下に収めた。ダイエーの創業者中内功氏は名言を残している。

「息子を社長にするのは、いつでもできる。だが、経営者にすることはできない」

 イオンを国内小売業最大手にした卓也氏と元也氏は、ライバルの中内氏が残した言葉を今、噛みしめているにちがいない。

 折しも、有森隆著『創業家一族』(エムディエヌコーポレーション刊、税別定価1800円)が刊行された。トップ企業44社の血縁物語を綴る。

日本電産(永守家)は「終身社長型の創業家」?

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『創業家一族』(有森隆/エムディエヌコーポレーション)

“日本株式会社”の中心に位置するトヨタ自動車(豊田家)、ソニー(盛田家)、武田薬品工業(武田家)、パナソニック(松下家)、ブリヂストン(石橋家)やサントリーホールディングス(鳥井・佐治家)、セブン&アイ・ホールディングス(伊藤家)、イオン(岡田家)などの創業家一族を生体解剖している。現役バリバリの創業者であるファーストリテイリング(柳井家)、ニトリホールディングス(似鳥家)、ヤマダ電機(山田家)の3社は「終身社長型の創業家」と分類されている。言い得て妙である。

「闇営業」で話題になった吉本興業(吉本・林家)、父娘が経営権をめぐって死闘を繰り広げ、とうとうヤマダ電機の軍門に降った大塚家具(大塚家)、ドラッグストア再編のカギを握るマツモトキヨシホールディングス(松本家)、“かぼちゃの馬車”のシェアハウスのオーナーに建築資金を融資するにあたって、オーナーの預金残高を水増しするという組織ぐるみの不正が発覚し、存亡の危機に瀕したスルガ銀行(岡野家)も、しっかりフォローしている。

 創業家一族が合併に猛反対した出光興産(出光家)、創業家とプロ経営者が衝突したLIXILグループ(潮田家・伊奈家)、リニア中央新幹線の談合裁判で対応が大きく分かれた鹿島(鹿島家)、大林組(大林家)も、きちんと追跡している。

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