新型コロナウイルスの感染拡大を受け、26日、安倍晋三首相は緊急事態宣言が可能になる手続きの一つとして「政府対策本部」の設置を指示し、さらに東京都に続き、神奈川、千葉、埼玉、山梨の各県が今週末の外出自粛を打ち出すなど、自粛ムードが強まっている。
こうしたなか、企業でもリモートワーク(在宅勤務)の導入が広まり、全国の小中高校、大学でも卒業式や入学式の中止が相次いでいるが、“私大の雄”による学生への厳しい姿勢が話題を呼んでいる。
早稲田大学は2月、今月予定されていた2019年度卒業式と4月に予定されていた20年度入学式を中止すると発表。さらに今月24日には、新年度の授業開始日を5月11日に後ろ倒しすることを発表するなど、迅速な対応をみせていた。
そんな早大の卒業生と学生たちが、卒業式が行われる予定だった3月25日、26日に“お膝元”の高田馬場駅前で騒ぐ様子が一部メディアで取り上げられたことを受け、早大が田中愛治総長名で異例のコメントを学生向けに出した。「早稲田大学の学生に自覚ある行動を求む」と題された以下のコメントが、早大の公式サイト上にも掲載されている。
「早稲田大学の学生諸君へ 早稲田大学総長 田中愛治
新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、不要不急の外出や懇親会等の自粛が社会的に強く求められている。それにも関わらず、今月25日(水)、26日(木)において、卒業生を中心とした学生が、深夜に高田馬場駅前ロータリーで騒ぐ姿が一部メディアで報道され、大学にも多くの苦情が寄せられていることは非常に遺憾である。これらの騒ぎに参加した学生には猛省を促したい。在学生には早大生として、卒業生には新社会人として、自覚ある行動を改めて求める。 以上」
総長自ら“怒りのメッセージ”を出したことについて、インターネット上では次のような声が上がっている。
「毎年、この卒業式&新歓コンパの時期は、高田馬場駅前は無法地帯になる。学生の中には『学の自由だ』とか『高田馬場駅前ロータリーは治外法権だ』とかホザく輩も多いからね」(原文ママ、以下同)
「お上の言うことに素直に従わないのが早稲田らしさみたいなところありますが、いまどき、早稲田に限らなさそうですね。早稲田にもおりこうさんもいるでしょう」
「まだ明るい時間の高田馬場から泥酔早大生がいなくなったら、それこそ事件だわ」
「総長名義で発表されていること自体、相当な状態」
「激怒する早稲田大学は偉い そうだよ! 怒った方がいいよ」
「これじゃ伝わらないのが早稲田」
「早稲田の学生には無理な要求」
早稲田大学の“伝統”
今回の早大の対応について、早大OBのテレビ局員は語る。
「卒業式の日に馬場駅前で卒業生と学生が羽目を外したり、六大学野球の早慶戦の後に新宿コマ劇場の前で“暴動”を起こしたりするのは、ずっと早大の伝統でした。僕が学生の頃は、特に慶應に負けた日はコマ劇前に酔った学生たちが大挙して、鉄柱によじ登って雄たけびをあげたりして、地域の町内会のような人たちに怒られていましたね。あと、卒業式の馬場駅前では、卒業生が胴上げされる光景がお決まりでした。
こうした風習が今でもまだ残っているのかは、わかりませんが、ウチの若い早大出身の社員なんかに聞くと、卒業式の夜はサークルやゼミなどで“追いコン”というかたちでオールで朝まで飲み会をしたりしているようです。今回の件は、さすがにコロナ自粛下なのでマズいと思いますが、特に卒業式や入学式のシーズンは、サークルの卒コンや新入生の勧誘などで馬場駅周辺の店は賑わうので、それがなくなると店にとっては大打撃でしょう」
また、別の早大OBの会社員は語る。
「僕がいた頃は、構内の部室で徹夜で麻雀したり、酒飲んだりっていうのは普通にありました。今は大学側もそういう行為を厳しく取り締まって、なくなりつつあるみたいです。もともと早大の学生は“バカなことを真面目でやる人”に寛容というか、そういう行為がある種の早大生のステータスみたいな風潮があったような気がしますが、最近の早大生はみんなスマートになって、加えてバカな行為が社会的にも許されなくなり、早大もだいぶ様変わりしている印象です。普通に考えれば、駅前で酔って騒いだりしたら、ただの迷惑行為ですから、昔のほうがおかしかったと言われれば、それまでですがね」
有名大学の学生だけに、コロナ問題が深刻化するなかで規律ある行動が求められているといえよう。
(文=編集部)