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ドトールもスタバもコメダも危機的状況…好調ムードが新型コロナで一転、業績見通せず

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント
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スターバックスの店舗

 新型コロナウイルスの感染拡大でカフェチェーンが危機に瀕している。

 ドトール・日レスホールディングス(HD)は、「ドトールコーヒーショップ」の3月の既存店売上高が前年同月比20.8%減だったと発表した。新型コロナの感染拡大に伴う臨時休業や営業時間の短縮で、売り上げが急激に低下したという。同社はほかに「エクセルシオールカフェ」を展開しているが、こちらも厳しく、3月の既存店売上高は29.3%減と大きく落ち込んでいる。

コメダ珈琲店」を展開するコメダHDも厳しい状況だ。3月のフランチャイズ(FC)既存店向けのコーヒーなどの卸売り売上高は9.5%減だった。新型コロナの感染拡大に伴う外出自粛が影響したという。

 政府の緊急事態宣言が全国に発令され、大手カフェチェーン各社において臨時休業の動きが広がっている。タリーズコーヒージャパンは4月16日から7 都府県で臨時休業の店舗を400店に拡大、さらに23日から北海道など6道府県の約50店を追加している。ドトールコーヒーは同18日から対象を拡大し、ドトールやエクセルシオールなど全国の直営約290店を臨時休業した。スターバックスコーヒージャパンは、13の特定警戒都道府県のほぼ全店にあたる約1100店を休業とし、その他の地域では閉店時間を早め、ドライブスルーを含めた持ち帰りのみとした。コメダHDは17日から時短営業の店舗を増やしている。

 カフェを含む飲食店は政府の緊急事態宣言における休業要請の対象ではないが、顧客や従業員の安全を考え、臨時休業する店が増えている。これにより今後の業績悪化が懸念される。

 ドトールの既存店売上高は、コロナショック前までは堅調に推移していた。新型コロナの影響で2月(3.5%減)と3月(20.8%減)は大きく落ち込んだが、それ以前はプラスの月も多く、それほど悪くはなかった。2020年2月期の既存店売上高は前期比0.6%増だった。マイナスだった19年2月期(2.0%減)から一転、プラスとなっている。ドトールは現在、全国に約1100店を展開しているが、長らく概ね横ばいで推移しており、店舗数の増加で売り上げを伸ばすことができない状況にある。そのため、既存店売上高を高めることが重要になるが、それがプラスに転じた意味は小さくない。

 一方、エクセルシオールは厳しい状況が続いている。20年2月期の既存店売上高は前期比1.3%減だった。前年割れは2期連続となる。客数は長らく前年割れが続いており、09年2月期から20年2月期まで12期連続でマイナスだ。スタバやドトールとの違いを打ち出 せないなどで苦戦を強いられている。

 ドトールが堅調だったこともあり、ドトール・日レスHDの20年2月期連結決算は、まずまずだった。売上高は前期比1.5%増の1311億円、営業利益は1.4%増の102億円。純利益 は2.4%増の60億円だった。ドトールでは片手で食べられるデザートやタピオカ入り飲料が好調だったという。だが、新型コロナの影響で今後は予断を許さない。21年2月期の業績見通しは新型コロナの影響で合理的な算出が困難として「未定」としている。

好調だったスタバにも暗い影

 スタバは店舗数が拡大傾向にあり、成長途上にある。19年12月末時点で全国に1530店 を展開しているが、1年前から115店増えた。ドトールが1100店程度で横ばい推移しているのを尻目に店舗数をどんどん増やしており、カフェチェーンでは国内最多を誇る。なお既存店の業績は非公開のため不明だ。

 スタバは一時、価格の高さや混雑が敬遠され顧客満足度が下がっていたが、最近上昇に転じている。日本生産性本部がまとめた日本版顧客満足度指数(JCSI)調査でスタバの19年度の顧客満足度のスコアは73.6で、18年度から上昇した。また、18年度は順位が5位以下の圏外だったが、19年度は首位のドトール、2位のカフェ・ベローチェに続く3位にランクインしている。コメダ珈琲店(4位)を上回った。

 スタバは混雑解消が喫緊の課題となっているが、店舗数の増加で顧客が分散し、混雑解消につながっている面がありそうだ。それにより顧客満足を高められている。店舗数は増え、顧客満足は向上しており、ノリに乗っていると言っていいだろう。だが、新型コロナの影響で先行きは不透明だ。短期的には収益の低下と出店の抑制が避けられないだろう。

 コメダHDはFC既存店向けの卸売り売上高が好調に推移していた。20年2月期は前期比4.9%増と大きく伸びており、2期連続となる増収を達成している。また、コメダ珈琲店の店舗数は増加傾向にある。20年2月末時点で全国に864店展開しているが、1年前から36店増えている。

 コメダHDの20年2月期連結決算(国際会計基準)は好調だ。売上高は前期比2.9%増の312億円、営業利益は4.1%増の78億円、純利益は5.0%増の53億円だった。出店拡大でFC向けの卸売り売上高が伸びた。商品面では高級チョコレートブランド「ゴディバ」と共同で開発した季節限定メニューが好調だったという。このように同社は絶好調といっていいが、今後は新型コロナの影響で厳しくなるだろう。なお、新型コロナの影響が読めないことから、21年2月期の業績見通しを公表していない。

 このように、カフェチェーンは新型コロナの影響で今後は厳しい状況になりそうだ。もっとも、新型コロナの影響でカフェならではの需要も生まれているので、やり方次第ではある程度、売り上げの落ち込みを抑えることができるかもしれない。JCBとナウキャストによると、クレジットカード決済額をもとにした3月前半の喫茶店・カフェの推計消費額(速報値)は、前年同月比5.1%増、3月後半が4.4%増だったという。新型コロナの影響で在宅勤務をする人が増えたが、自宅では仕事がはかどらないという人が、カフェや喫茶店を職場代わりに利用するケースが増えたことが影響したとみられる。こういった需要を取り込んだり、テイクアウトを強化するなどで、この難局を乗り越えたいところだ。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

佐藤昌司/店舗経営コンサルタント

佐藤昌司/店舗経営コンサルタント

店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に勤務。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。

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