日経平均「8千円台」も想定しておいたほうがいい…それでもコロナ禍は投資のチャンス?
新型コロナウイルスの影響で、世界の株式市場を取り巻く環境は一変しました。当初、新型コロナをアジアの出来事と捉えていた欧米にも感染が拡散、WHO(世界保健機関)のパンデミック宣言以降は、株式だけではなく世界のあらゆる資産が「キャッシュイズキング」の名の下に売られたのは記憶に新しいところです。
株式に限れば、下落の勢いがあまりにも速いことから、損切りを行おうにも機を逸してしまった人も多く、また2017年から対象者が広がった「iDeCo(個人型確定拠出年金)」、18年から始まった「つみたてNISA」で積立投資を始めた人には肝を冷やした人もいたはずです。
一方で、今回の暴落は長い目で見ればチャンスと考える投資家も多く、ネット証券を中心に新規口座開設数が急増したというニュースも報道されています。08年のリーマンショックと比較すると投資のリテラシーが上がったといえる半面、株価は本当に底打ちしたのか疑問が残るところです。
日経平均株価は20年3月19日に1万6552円83銭で底を打ち、3月23日の週に大幅反発。4月17日には1万9897円26銭まで上昇し当面の底を打った、あるいは一番底を入れた等々の見方も出ていますが、景気の大幅な悪化や経済封鎖解除後の感染者数再増加の第2波、第3波があると考えたら、底値に達したといえない気がしてなりません。
新型コロナの影響は、もはや現世代にほぼ経験者がいない1918年~19年のスペイン風邪に匹敵する可能性があるからです。そこで日経平均株価の底値も最悪になるケースを頭の隅に入れておいたほうがよい気がしてならないのです。
平均下落率は62.7%
日経平均株価は、バブル崩壊を含め3回大幅な暴落があります。90年1月(正確には89年12月末の3万8915円)~92年8月(1万4309円)の63.2%、2000年4月(2万833円)~03年4月(7607円)の63.5%、07年7月(1万8261円)~09年3月(7054円)の61.4%です。過去3回の平均下落率は62.7%なので、今回の暴落を当てはめると、高値は20年1月の2万4083円だったことから、底値は8980円前後になります。
相場格言には「半値8掛け2割引き」があることから、格言に当てはめると7710円前後になります。衝撃的な数字となってしまいましたが、今後の企業業績はどこまで悪化するのか予測することができない(=来期の業績予測を出さない企業が続出と思慮)ことから、PER、PBRなどのバリュエーションは効かない(=計算できない)と思われてならないのです。
日本銀行のETF買い、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)などが不退転の覚悟で株価を支えているとの観測があることから、3月19日の終値で底を打った可能性もあります。また、世界の主要国でも前例のない金融緩和、財政政策を行っているうえ、ワクチンの開発や治療薬の登場が予想外に早く完成する可能性もゼロではありません。
日経平均株価の1万円割れは荒唐無稽の数字なのかもしれませんが、最悪を想定する意味で書かせていただきました。日本の株価に関しては、TOPIX(東証株価指数)は1200ポイントがアベノミクスラリーの下値のサポートラインになっているいわれています。1200ポイントを今後もキープできるか否かが当面の鍵と思われてなりません。
(文=深野康彦/ファイナンシャルリサーチ代表、ファイナンシャルプランナー)