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小林敦志「自動車大激変!」

スズキ・ハスラー、大ヒットの裏に根強いジムニー人気…ダイハツ・タフトと“販売バトル”へ

文=小林敦志/フリー編集記者
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スズキの「ハスラー」(「スズキ ハスラー」より)

 本連載前回記事で、間もなくダイハツ工業から正式デビューするSUVスタイルの新型軽自動車「タフト」の事情について詳述した。タフトは、ライバルとされるスズキ「ハスラー」と好勝負を展開することが予測され、その背景には、軽自動車販売トップブランドの地位を固めるというダイハツの思惑もある。

 しかし、ハスラーにあってタフトにないものがある。それは「ジムニー」という存在だ。2018年7月に現行ジムニーは発売されているが、それ以降、納車まで1年ともいわれる“超納期遅延”が続いており、ここのところの新型コロナウイルス問題もからみ、さらに納期が遅れるのではないかともいわれている。

 軽自動車サイズでの本格クロカン系SUVとなるジムニーは、世界で見てもオンリーワン的存在であり、東南アジアなどではオートショー会場に展示すれば(登録車のジムニーシエラとなるが)、終日来場者が多数展示車を囲み、熱心にチェックしており、「早く5ドアを出してほしい」という記事も多数見かけたことがある。

 このようなクルマで荒野を走る趣味のある人以外でも、日本では“感度のいい”若い女性などの間でも「乗ってみたい」との気持ちがあるようだが、新型となった現行モデルでも、乗りこなすのは難しいモデルともいわれている。

 新車販売業界の事情通氏は「知り合いに先代ジムニーを気に入って購入した若い女性がいますが、『運転が大変』とのことで、すぐに一般的な軽自動車に乗り替えました」と語る。

 実際、ジムニーが欲しいのだが「ちょっと持て余しそう」と躊躇している人が初代ハスラーを見て、「これなら」と殺到したことも、先代大ヒットの背景のひとつとして挙げられている。つまり、ジムニーがあってこそ、ハスラーのキャラクターをより鮮明に引き出すことができたのである。現行モデルでも、その流れは当然引き継がれている。

 しかし、タフトには、ハスラーにおけるジムニーのような存在がダイハツの軽自動車にはない。まだステアリングを握っているわけでもないのでなんともいえないが、“見かけ倒し”のようなイメージが先行してしまう可能性も高い。

 また、丸いヘッドライトの採用が個性を醸し出すハスラーだが、タフトは異型ヘッドランプを採用。「ハスラーほどの遊び心はいらない」とする人にはいいかもしれないが、タフトは少々見た目の遊び心が足りないところも気になる(丸目にしたらそっくりになってしまうからなのだろうが……)。

タフトvs.ハスラーのバトルはどうなる?

 上級車種から軽自動車やコンパクトカーへ、ダウンサイズして乗り替える動きが引き続き目立っている。トヨタ自動車「ライズ」が想定外ともいえる大ヒットを続けているが、それまでの生活臭の強いハッチバックモデルばかりが目立つコンパクトカーのなかにあって、SUVスタイルのモデルが新鮮に映り、ダウンサイザーを引き寄せたのも大ヒットの要因のひとつといえる。

 初代ハスラーも、ハイト系で、しかもスライドドアを持つモデルばかり売れる軽自動車にあって、“ジムニーの流れ(イメージ先行?)”を汲み、愛嬌のある遊び心あふれるクロスオーバーSUVスタイルの軽自動車というキャラが、軽自動車に二の足を踏んでいた人を引き寄せた。

 ハスラーのライバルとしてタフトを送り込んできたダイハツ。今後は、軽自動車販売では“N-BOXオンリー”ともいえるホンダや、NMKV(日産自動車/三菱自動車工業)などが、この流れに追随して軽自動車でのSUVモデルを投入してくるのかも注目したいところ。クロカンスタイルというよりは、世界的に流行している“クーペSUV”スタイルのモデルなどが出てくると、これもまた人気が出そうだ。

“打倒ハスラー”としては、デビューがやや遅かったともいえるタフト。ハスラーをじっくり研究したような印象を受け、タフト正式発売後に“ガチ勝負”を展開するのは避けられない。両車がどのようなバトルを展開していくのか、今後もそのゆくえを見守っていきたい。
(文=小林敦志/フリー編集記者)

小林敦志/フリー編集記者

小林敦志/フリー編集記者

1967年北海道生まれ。新車ディーラーのセールスマンを社会人スタートとし、その後新車購入情報誌編集長などを経て2011年よりフリーとなる。

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