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田中圭太郎「現場からの視点」

大分大学、学長“独裁化”で教授会と内紛…学長の任期上限を撤廃、ルール無視し人事強行

文=田中圭太郎/ジャーナリスト
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大分大学(「Wikipedia」より/大分帰省中)

 国立大学法人大分大学では、学部長人事や教授採用などをめぐり、北野正剛学長と教授会が対立。教員OBも異議を唱えるなど、混乱が起きている。

 昨年8月には経済学部長の選考をめぐり、学長に意見として上げる候補者を学部の要項にもとづいて教授会が選んだにもかかわらず、学長が無視して学部長を決めた。批判の声が上がると「第三者委員会」が「要項は大学規程に抵触する」と教授会を悪者にして、要項自体が撤廃された。

 また昨年9月の医学部の教授採用では、教授会が選んだ候補者を学長が覆し、必要な手続きも経ずに別の人物を採用した。教授会によって選ばれていた候補者は、大分県弁護士会に人権救済の申し立てをしている。

 これらの問題の背景には、北野学長を中心とした執行部の専制にある――。そう指摘するのは、大学の混乱を受けて、教員OBらが昨年12月に立ち上げた「大分大学のガバナンスを考える市民の会」の関係者だ。関係者が「学問の自由と大学の自治が危機的な状況にある」と危惧する大分大学で、何が起きているのかを取材した。

学長がルールを無視して教授選考

 大分大学医学部の准教授だった50代の男性が今年1月、大学を退職した。男性は前任の教授が退官した約1年9カ月前から、准教授兼大学附属病院の放射線科部長として、研究や学生の教育、医局や病院の放射線部の運営に関わっていた人物。医学部の教授候補者選定委員会の選考、教授審査委員会の投票を経て、昨年9月の人事会議で次期教授候補者に決定していた。

 ところが、いつの間にか北野学長が別の人物を候補者に選んだために、教授になれなくなってしまったのだ。

 大分大学の教員選考規程では、教員の任用は「人事会議の審議に基づく部門長の申出により、教育研究評議会の審議を経て、学長が行う」となっており、最終的な任用権限は学長にある。しかし、教員の選考過程に学長が関与することは想定されていないし、認められてもいない。

 にもかかわらず、北野学長は昨年11月の医学部教授会に、別の人物を教授に任命することを通知。10月に就任したばかりの医学部長は、同月にメールによる人事会議を開いて、学長が選んだ人物を教授候補者として教育研究評議会に推薦する方針と、期日までに回答がなければ異議なしとして取り扱うことを通知。メールで会議を開いたことにして、9月の医学部人事会議の決定を覆したのだ。

 元准教授は今年1月、医学部人事会議による教授候補者の決定を学長が覆したのはアカデミック・ハラスメントであり、人権を不当に侵害する行為に該当するとして、大分県弁護士会に人権救済を申し立てた。

 北野学長は九州大学医学部出身で、大分大学医学部の教授や副学部長などを務め、2011年に学長に就任。元准教授は大分大学に合併する前の大分医科大学出身で、最終的に教授に選ばれた人物は九州大学出身だった。教員OBの一人は教授選考の問題は「学閥争いが影響したのではないか」と指摘しており、医療関係者からも「やりすぎではないか」との声が聞こえてくる。

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