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『半沢直樹』から“消えた”俳優たちの裏事情…滝藤賢一、吉田鋼太郎、吉田羊、TKO木下

文=峯岸あゆみ
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コロナ禍を乗り越え、7年ぶりに帰ってきた人気ドラマ『半沢直樹』(画像はTBS公式サイトより)

 新型コロナウィルスの感染拡大の影響で放送が延期になっていたテレビドラマ『半沢直樹』(TBS系)が絶好調だ。8月2日に放送された第3話の視聴率は23.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と右肩上がりで上昇中。IT企業の買収騒動を描いた第1部は佳境を迎えつつあり、今後ますます数字がアップすることが予想される。

『半沢直樹』と同じく“4月から放送予定だったがコロナで放送延期になったドラマ”には、木村拓哉主演の『BG~身辺警護人~』(テレビ朝日系)、織田裕二主演の『SUITS/スーツ2』(フジテレビ系)、篠原涼子主演の『ハケンの品格』(日本テレビ系)と、ヒット作の続編が多かったが、そのなかでも視聴率は『半沢直樹』がダントツ。そればかりか、この23.2%という数字は、今年放送されたすべてのドラマのなかでもナンバー1の記録なのである。

『半沢直樹』の第1シリーズが放送されたのは2013年。その最終話は42.2%を記録するメガヒットとなったため、すぐに続編制作が望まれたが、それが実現するまでには実に7年もの歳月がかかった。これは、出演者のスケジュールの調整が難航したことが最大の原因だといわれている。特に主人公・半沢直樹を演じる堺雅人は、『半沢直樹』後にNHK大河ドラマ『真田丸』に主演するなど、俳優としてランクを大きく上げ、仕事を選べる立場になった。

 実際、7年もあれば芸能界のパワーバランスは大きく変わる。香川照之、上戸彩、及川光博、片岡愛之助、北大路欣也らは前作から続投となったが、第1シリーズには出演していて第2シリーズには出演していない俳優、作品から消えたキャラクターは、実は何人もいる。それは誰で、どんな背景があるのか? 

 以下、2013年に放送された第1シリーズは「13年版」、現在放送中の第2シリーズは「20年版」と表記統一しつつ、そのあたりの事情をさぐっていこうと思う。

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ドラマ『半沢直樹』の原作は、池井戸潤による一連の小説“半沢直樹シリーズ”である。写真は、2013年版第1部の原作である『オレたちバブル入行組』(文春文庫)

NHKのシバリが厳しく残念ながら降板

 まず、消えたことでファンを大いに残念がらせたのが、滝藤賢一演じる近藤直弼だ。13年版での近藤は、半沢、渡真利忍(及川光博)と同じ大学出身かつ「東京中央銀行(当初は産業中央銀行)」の入行同期であり、ドラマのカギを握る重要なキャラクターだった。続編にも出ているのが自然だが、滝藤の出演は発表されていない。ただし、20年版の第1話では一応、「シンガポールに長期出張中である」という説明があった。

 滝藤は現在、NHK大河ドラマ『麒麟がくる』に足利義昭役で出演中。さらに年末放送予定のレギュラー出演作『コールドケース3~真実の扉~』(WOWOW)の撮影も抱えている。 今や数多くの映画、ドラマ、CMに出演している滝藤だが、俳優としてブレイクしたのは、『半沢直樹』13年版への出演がきっかけだった。つまり、皮肉にも、13年版に出演したことが、20年版に出られない遠因になっているのである。

『おっさんずラブ』俳優が消えた理由は?

 同じような理由で出演が叶わなかったのが、13年版の第2部「東京本店編」において、「東京中央銀行」東京本部営業第二部に在籍していた半沢の上司・内藤寛を演じた吉田鋼太郎だ。このキャラは、銀行上層部のなかでは珍しく誠実で良識のある人物として描かれていた。演じた吉田鋼太郎はその時点では無名に近かったが、内藤役による高感度アップも手伝い、以後はメジャー俳優に。『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)などの代表作も残した。

 続編での半沢は、「東京中央銀行」の子会社「東京セントラル証券」に出向しており、内藤とは上司と部下の関係ではなくなった。だが、行内における半沢の味方となる重鎮として内藤が登場しても違和感はなかったが……。

 吉田鋼太郎もまた『麒麟がくる』に出演。さらに、『SUITS/スーツ2』(フジテレビ系)、『刑事7人』(テレビ朝日系)と同時放送の2本の民放ドラマにレギュラー出演と多忙を極めており、『半沢直樹』から消えることになった。なお、20年版『半沢直樹』第3話放送時の裏番組として、『劇場版 おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~』がテレビ朝日系で放送されたことも記憶に新しい。

チョイ役だった吉田羊の未出演は当然の選択?

 続編の出演者リストには、13年版に出ていた吉田羊の名前もない。今の彼女が『半沢直樹』に出演するのなら、やり手のビジネスパーソンの役が用意されそうだが、13年の時点では状況が違った。吉田羊は遅咲きの女優であり、当時はそれほどメジャーな存在ではなかったのだ。13年版で彼女が演じた役は、半沢の配偶者である半沢花(上戸彩)が、フラワーアレンジメントの仕事をやっていた当時の先輩だった。しかも出演は1シーンだけ。顔がアップになることも少ない、いわばチョイ役に過ぎなかった。気を抜いて観ているとそれが吉田羊だとは気づかないレベルだ。

 その後、出演作が途切れない人気女優となった彼女は現在、滝藤賢一も出ている主演作『コールドケース3~真実の扉~』の撮影で忙しい。しかも8月4日には、撮影中の7月下旬に体調不良を訴えて病院に搬送されたいたという心配なニュースも報じられた……。

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講談社より2020年8月に発売予定の『日曜劇場 半沢直樹 公式ブック』

Hey! Say! JUMPメンバーは同時期ドラマに出演中

 20年版では、賀来賢人が、半沢を尊敬する若い部下を演じているが、13年版の第1部「大阪西支店編」で同じようなポジションにいたのが、中西英治(中島裕翔)というキャラクターだ。このときの半沢は、「東京中央銀行」の大阪西支店融資課に属しており、中西はそこでの部下だった。

 Hey! Say! JUMPのメンバーである中島は現在『SUITS/スーツ2』に主演の織田裕二の相棒役で出演中と大忙し。第1部の最後で栄転したという設定だった中西がたとえば今後、半沢になんらかの情報を提供するような形でのゲスト的な再登場も見込めないだろう。

 金沢に住む半沢の実母・半沢美千子を、シンガーソングライタ ーで映画・ドラマへの出演歴も豊富なりりィが演じていた。しかし、彼女は2016年に64歳で他界しており、出演が不可能。代役を立てることがない限り、回想シーン以外で半沢の実家が描かれる可能性は低いかもしれない。

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なんとマンガ版まで登場! 写真は、漫画:フジモトシゲユキ、構成:津覇圭一によるコミック『半沢直樹』(講談社)の第1巻。「週刊モーニング」(講談社)にて連載中である。

パワハラ芸人の役は残ったが、演じたのは別人?

 半沢、渡真利、近藤と同じ大学出身で、「東京中央銀行」のライバルであるメガバンク「白水銀行」の融資本部次長である油山哲也(木下隆行〈TKO〉)も消えたキャラである。いや、厳密には完全に存在が消滅したのではない。

 続編の第3話では、それらしき人物の後ろ姿が画面に写り、それが油山であることを示唆する描写もあった。しかし、出演者クレジットに木下の名前がなかったのだ。つまり、別人が後ろ姿を演じたということである。

 なぜ、木下自身が出ていないのか? これは木下が、パワハラ問題から所属していた松竹芸能を退社したことが原因だと考えられる。なお、事前に放送された総集編でも、木下の出演シーンは放送されなかった。“ライバル銀行にいる半沢の友人”ということで、油山は使い勝手のいいキャラクターになり得たが、芸能界の複雑な事情で木下の起用は見送られたということなのだろう。

 このように、消えたキャラは何人もいるが、何が起こるかわからないのが『半沢直樹』の面白さ。今後、近藤あたりの土壇場での出演の可能性もゼロではないかもしれない。

峯岸あゆみ/ライター

峯岸あゆみ/ライター

CSと配信とYouTubeで過去のテレビドラマや映画やアイドルを観まくるライター。ベストドラマは『白線流し』(フジテレビ系)、ベスト映画は『ロックよ、静かに流れよ』(1988年、監督:長崎俊一)、ベストアイドルは2001年の松浦亜弥。

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